「やせている人は栄養バランスの良い食事をしているのだろうか、それとも偏った食生活の結果なのだろうか」——そんな素朴な疑問を持ったことがある人は少なくないでしょう。やせ(低体重)は見た目の問題だけでなく、骨粗鬆症や2型糖尿病、さらに妊娠した場合には低出生体重児のリスクを高める可能性がある健康課題として知られています。特に日本人女性はやせの割合が高いことが知られており、その食生活の実態を明らかにすることは公衆衛生上重要なテーマです。今回紹介する研究は、日本人のやせ女性と普通体重の女性とで、食事の質に違いがあるのかを調べたものです。
研究でわかったこと
この研究は、20歳から79歳までの日本人女性2977人を対象にした全国規模のオンライン調査データを用いた横断研究です。自己申告による身長・体重をもとに、BMI(体格指数)が18.5未満の「やせ群」と、18.5以上25未満の「普通体重群」に分類されました。その結果、やせ群は637人(21.4%)、普通体重群は2340人(78.6%)でした。なお、参加者のうち41.7%は栄養・健康関連の職業に就いている人だったとのことです。
食事の内容は、簡易版の食事歴法質問票(Meal-based Diet History Questionnaire)を用いて調べられ、食事の質は「Healthy Eating Index 2015」という指標で評価されました。これは食事全体の栄養バランスの良さを点数化する国際的な指標です。
その結果、食事の質の総合スコアの平均値は、やせ群で51.3点、普通体重群で51.5点となり、両群の間に統計的な差は見られませんでした(P = 0.33)。つまり、全体としての食事の質はやせている女性とそうでない女性であまり変わらないという結果です。
ただし、指標を構成する項目ごとに見ると、「タンパク質食品」の得点についてはやせ群の方が普通体重群より有意に低いことが示されました(P = 0.02)。具体的には、やせ群では魚介類や肉の摂取量が少ない一方で、パンや豆類・ナッツ類の摂取量は多い傾向が見られたと報告されています(いずれもP<0.05)。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究は、ある一時点での食事や体重の情報を集めて比較した横断研究であり、食事の内容がやせの「原因」なのか「結果」なのかを明らかにするものではありません。また、体重や身長は自己申告によるものである点や、対象者の中に栄養・健康関連の職業に就いている人が4割程度含まれていた点も、結果を読み解くうえで留意すべき点といえるでしょう。一つの研究であり、これだけで結論が確定したわけではない点に留意が必要です。
まとめ
今回の研究では、日本人のやせ女性と普通体重の女性とで、食事全体の質を示すスコアには大きな違いが見られなかった一方、タンパク質食品の摂取、特に魚介類や肉の摂取が少ない傾向があることが示唆されました。やせ型であること自体が必ずしも「食生活の乱れ」を意味するわけではなさそうですが、タンパク質源となる食品の摂取については今後さらに検討が重ねられていくテーマといえそうです。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:日本人のやせ女性における食事の質:普通体重者との比較(ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ニュートリション・2026年07月)