仕事帰りに買うファストフードです。休日にレストランでゆっくり食事をとる。どちらも「外食」ですが、体への影響は同じなのでしょうか。今回紹介する研究は、この2つの外食スタイルと体内の炎症反応との関連を調べたものです。
炎症は、体が傷や感染から回復しようとする自然な反応です。ただ、その状態が慢性的に続くと、さまざまな健康問題との関連が指摘されてきました。近年の研究では、食事の内容がこの炎症レベルに影響しうることが注目されています。ファストフードとレストラン食をひとくくりに「外食」として扱ってよいのか、この研究はそこに疑問を投げかけました。
NHANESデータで6357人を分析
研究チームは、米国の大規模な健康調査「NHANES」の2015〜2018年のデータを用いました。対象は成人6357人です。
食事内容は24時間思い出し法という手法で調べられました。食品ごとの出所コードから、ファストフードとフルサービスレストラン(着席して注文するタイプの飲食店)由来のカロリーがそれぞれ計算されています。
炎症の指標には、血液検査で測る高感度CRP(hs-CRP)という値が使われました。これは体内の炎症状態を反映するとされるマーカーです。
ファストフードだけがCRP上昇と関連
解析の結果、ファストフード由来のカロリー摂取が10%増えるごとに、hs-CRP値がわずかに上昇するという関連が見られました(β = 0.014、P = 0.035)。統計的に意味のある関連とされています。
一方、フルサービスレストランの利用については、hs-CRP値との明確な関連は見られませんでした(β = −0.005、P = 0.578)。両者を同時に比較したモデルでも、この違いは変わらなかったということです。
この関連は、年齢層別に見ると20〜39歳で最も強く現れていました(P = 0.016)。
鍵は「食物繊維の少なさ」だった
研究チームはさらに、この関連を生み出している栄養素を探るため、食物繊維・飽和脂肪・ナトリウム・総糖分の4つを候補として媒介分析を行いました。
その結果、ファストフード摂取とCRP上昇の関連のうち、34.2%は食物繊維の少なさによって説明されるという結果でした。飽和脂肪の寄与は12.6%にとどまっています。
さらに、これらの栄養素すべてを考慮に入れると、ファストフード摂取そのものによる直接的な影響は統計的に意味のある水準ではなくなりました(P = 0.213)。つまり、ファストフードという「食べ方」自体よりも、そこに含まれる栄養素の組み合わせが炎症との関連を左右していた可能性が示されています。
この研究を読むうえでの注意点
この研究は横断研究と呼ばれる手法で行われています。ある時点のデータをもとにした関連を見るもので、原因と結果の順序を確定できるものではありません。
また対象は米国成人に限られており、年齢や性別、BMI、収入、喫煙などの要因は調整されていますが、そのほかの生活習慣の影響がすべて除かれているわけではない点にも留意が必要です。一つの研究であり、これだけで結論が確定したわけではありません。
まとめ
この研究では、ファストフードの摂取が炎症マーカーであるhs-CRPの上昇と関連する一方、フルサービスレストランの利用にはそうした関連が見られませんでした。その差の背景には、食物繊維の摂取量の違いが大きく関わっていることが示されています。研究チームは、外食を利用するかどうかよりも、そこで何を食べるか、特に食物繊維をどう確保するかに目を向けることが、公衆衛生上の対策として重要だと位置づけています。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:ファストフードとフルサービスレストランの利用は全身性炎症と異なる関連を示す:NHANES 2015-2018における食物繊維の主要な媒介要因としての役割(アメリカン・ジャーナル・オブ・ライフスタイル・メディシン・2026年08月)