この研究は、ベトナムの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Notulae Botanicae Horti Agrobotanici Cluj-Napoca
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
テンペはインドネシアに伝わる大豆の発酵食品です。研究チームによれば、テンペは栄養価が高く、たんぱく質が消化・吸収されやすく、イソフラボンなどの生理活性をもつ成分を含むことから、世界的な関心が高まってきました。イソフラボンは大豆に含まれる成分の一群で、論文ではゲニステインやダイゼインといった種類が主要なものとして挙げられています。
一方で著者らは、テンペに関する研究が世界全体でどのように進められ、テーマがどう移り変わってきたのかについては、まとまった理解が十分に得られていないと指摘しています。そこでこの研究は、栄養価、たんぱく質の質、イソフラボンに関する検討に重点を置きながら、テンペ研究の全体像を文献の面から見渡すことを目的としています。
何をどう調べたか
著者らが用いたのは「ビブリオメトリクス(計量書誌学)」と呼ばれる手法です。これは個々の実験をやり直すのではなく、これまでに発表された論文そのものをデータとして集計し、発表件数の推移や頻出するキーワード、国ごとの貢献などを分析して研究分野の地図を描く方法です。
対象としたのは、学術文献データベースWeb of Science Core Collectionから抽出した原著論文138本で、分析にはBibliometrix(Biblioshiny)というパッケージが使われました。
報告された主な結果
論文によると、テンペの研究は1960年代に始まっていましたが、発表件数は2015年以降に緩やかな増加を示しました。年による増減はあるものの、著者らはこれを発酵させた植物性食品への科学的関心が再び高まっていることの表れだとしています。
研究の中心となるテーマとして挙げられたのは、発酵の過程、たんぱく質の消化されやすさ、そしてゲニステインやダイゼインといった主要なイソフラボンでした。テーマとキーワードの分析からは、初期の発酵や化学組成に着目した研究から、体内での利用されやすさ(バイオアベイラビリティ)、抗酸化活性、機能性食品、プロバイオティクス、固体発酵といった新しい話題へと、関心が次第に移ってきた様子が示されています。また、研究を多く担ってきた国として、インドネシア、アメリカ合衆国、中国が特定されました。
この研究が示すこと
著者らは、テンペの研究が成分を調べる基礎的な段階から、栄養としての働きや健康に関わる性質を扱うより広い検討へと発展してきており、科学と産業の双方で関心が広がっていると述べています。
この研究自体は、テンペの栄養面・機能面に焦点を絞って研究動向や主な担い手、新たに現れつつある方向性を整理した地図を提供するものです。発酵食品や植物性たんぱく質をこれから研究しようとする人にとって、どこまで調べられ、どこが動き始めているのかを見通すための手がかりになる、という位置づけが示されています。
著者:Pham Thi Quyen(Industrial University of Ho Chi Minh City, Institute of Biotechnology and Food Technology, Ho Chi Minh City)、Pham My Hao(Industrial University of Ho Chi Minh City, Institute of Biotechnology and Food Technology, Ho Chi Minh City)、Le Pham Tan Quoc(Industrial University of Ho Chi Minh City, Faculty of Health Sciences, Ho Chi Minh City)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Pham Thi Quyen, Pham My Hao, Le Pham Tan Quoc. Global Research on Tempeh: A Bibliometric Analysis of Nutritional and Functional Properties. Notulae Botanicae Horti Agrobotanici Cluj-Napoca 2026-09-11. DOI: 10.15835/nbha54315296. 原著ライセンス:CC BY.