この研究は、ブラジルの研究機関の研究論文です。
掲載誌:European Journal of Clinical Nutrition
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
私たちが何をどれだけ食べるかは、日によって大きく変わります。栄養疫学の研究では、前日に食べたものを聞き取る「24時間思い出し法」がよく使われますが、この方法は1日分の記録であるため、その人の普段の食生活とはずれが生じます。このずれは「個人内のランダム誤差」と呼ばれ、特定の日をたまたま選んだことによる偶然の変動を指します。
研究チームは、こうした日ごとのばらつきが、食事パターンの把握にどの程度影響するのかを検討しました。食事パターンとは、個々の栄養素や食品を単独で見るのではなく、一緒に食べられやすい食品のまとまりとして食生活の特徴をとらえる考え方です。その抽出には因子分析という統計手法が用いられ、食品の組み合わせから共通する傾向(因子)を取り出します。著者らは、少ない日数の調査データから、普段の食事パターンをどれだけ再現できるのかを評価することを目的としました。
調べた方法
対象となったのは成人302人で、約3か月にわたり連続しない20日分の24時間思い出し法による調査を行いました。著者らは、この20日分の平均をその人の「普段の摂取量」と定義しています。
その上で二種類の因子分析を実施しました。一つは20日分の平均にもとづく普段の食事パターン、もう一つは20日のうちから2日・3日・4日を取り出したすべての組み合わせにもとづく食事パターンです。両者の因子の対応づけを行った上で、食品ごとの因子負荷量(その食品がどの程度そのパターンを特徴づけているかを示す値)の分布を比較しました。
報告された主な結果
普段の摂取量からは三つの食事パターンが得られ、著者らはそれぞれをPrudent(健康志向型)、Traditional(伝統型)、Western(欧米型)と名づけています。この三つで全体のばらつきの25%が説明されました。
2日分の組み合わせは190通りあり、そこから得られた平均的な因子負荷量は、普段のものより全体に弱くなっていました。とくに第三因子での減弱が大きかったと報告されています。一方で、第一因子と第二因子を特徴づける食品は、ほとんどの2日組み合わせで一貫して検出されました。これに対し第三因子の食品は、どの2日を選んだかによって検出されるかどうかが大きく左右され、本来その因子に属さない食品が誤って割り当てられることも多くなりました。3日・4日の組み合わせでも同様の傾向がみられています。
以上から著者らは、2日分のデータでも主要なパターンはとらえられるものの、説明力の小さい後続の因子はランダム誤差の影響を受けやすいと述べています。結論として、連続しない2日以上の調査日があれば普段の食事パターンを把握できるが、安定しているのは第一因子であり、それ以降の因子は日ごとのばらつきの影響を受けやすく、普段の食事パターンの再現が損なわれうるとしています。
この報告が示すこと
同じ食事調査データから得られたパターンでも、どの順位の因子かによって信頼のおける度合いが違うことを、この研究は具体的に示しました。少ない日数の調査にもとづく食事パターンを読むときには、最初に抽出されたパターンと、その後に続くパターンとを同列に扱わないという視点が重要になります。
著者:Giovanna da Conceição Nepomuceno(Institute of Social Medicine, Rio de Janeiro State University, Rio de Janeiro, Brazil)、Diana Barbosa Cunha(Institute of Social Medicine, Rio de Janeiro State University, Rio de Janeiro, Brazil)、Eliseu Verly(Institute of Social Medicine, Rio de Janeiro State University, Rio de Janeiro, Brazil)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Giovanna da Conceição Nepomuceno, Diana Barbosa Cunha, Eliseu Verly. Effect of day-to-day variation in dietary intake on dietary patterns identification through factor analysis. European Journal of Clinical Nutrition 2026-09-16. DOI: 10.1038/s41430-026-01827-x. 原著ライセンス:CC BY.