この研究は、カナダ、アメリカの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Food, Nutrition and Health.

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

朝食で食べられている食品が、費用に見合ってどれだけの栄養素や全粒穀物を届けているのか——研究チームはこの点に注目しました。著者らによれば、米国で日常的に食べられている朝食用の食品について、全粒穀物や栄養素を届ける際の「費用効率」を比較したデータはこれまで限られていました。

ここでいう「不足しがちな栄養素(shortfall nutrients)」とは、食事からの摂取量が推奨される水準に届きにくいと指摘されている栄養素を指します。研究チームは、こうした栄養素と全粒穀物を、1ドルあたりどれだけ届けられるかという観点から朝食用食品を評価することを目的としました。

何をどう調べたか

分析には、米国の全国健康栄養調査(NHANES)のデータが用いられました。この調査は、米国の人々の食事内容や健康状態を把握するために行われている全国規模の調査です。

研究チームはこのデータから、不足しがちな栄養素の摂取量、食事全体に占める各栄養素の割合、そして食事全体に含まれる全粒穀物の量を算出しました。そのうえで、日常的に食べられている朝食用食品について、栄養素と全粒穀物を届ける費用効率を検討しています。

報告された主な結果

論文によると、シリアルの摂取は子どもの食事に意味のある栄養密度をもたらしており、葉酸(食事性葉酸当量、DFE)、鉄、亜鉛、ナイアシン、リボフラビン、チアミン、ビタミンA、B12、B6、Eの各栄養素を届ける費用効率で第1位にランクされました。

カルシウムについては、シリアルと牛乳の組み合わせが費用効率で第2位となり、1ドルあたり1日622 mgのカルシウムを供給したと報告されています。ただし、カルシウムを届ける費用効率が最も高かったのは牛乳単独でした。食物繊維では、シリアルが第2位、シリアルと牛乳が第5位で、1ドルあたりシリアルは1日8.9 gの食物繊維を供給しましたが、食物繊維の寄与で最も費用効率が高かったのはオートミールでした。

カリウムでは、シリアルと牛乳が第4位で1ドルあたり1日800 mgを供給し、最も費用効率が高かったのは牛乳(1ドルあたり1370 mg)でした。ビタミンDでは、シリアルが第3位、シリアルと牛乳が第2位で、シリアルと牛乳は1ドルあたり1日8.0 µgを供給し、ここでも牛乳単独(1ドルあたり10.9 µg)が最も費用効率の高い食品でした。全粒穀物についてはシリアルが第2位、シリアルと牛乳が第4位、たんぱく質では第5位で、シリアルと牛乳は1ドルあたり1日19.1 gのたんぱく質を供給したと報告されています。

なお、これらの順位は、あくまで1ドルあたりに届けられる量を比較したものであり、どの食品がより健康に良いかを判定したものではありません。

この報告が示すこと

著者らは、シリアル、およびシリアルと牛乳の組み合わせが、米国の子どもたちにたんぱく質、全粒穀物、不足しがちな栄養素を届けるうえで費用効率の良い選択肢であると結論づけています。

限られた食費のなかで何を選ぶかを考えるとき、栄養素の量だけでなく「その栄養素をいくらで得られるか」という視点があり得ることを、この研究は具体的な数値とともに示しています。

著者:Yanni Papanikolaou(Nutrition Research & Regulatory Affairs, Nutritional Strategies, Kitchener, ON, Canada)、Ava Papanikolaou(Nutrition Research & Regulatory Affairs, Nutritional Strategies, Kitchener, ON, Canada)、Joanne Slavin(Department of Food Science and Nutrition, College of Food, Agricultural, and Natural Resource Sciences, University of Minnesota, 1334 Eckles Ave., St. Paul, MN, 55108, USA)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Yanni Papanikolaou, Ava Papanikolaou, Joanne Slavin. Cereal and cereal with milk are cost-efficient breakfast foods for delivery of protein, whole grains and shortfall nutrients in US children’s dietary patterns. Food, Nutrition and Health. 2026-09-16. DOI: 10.1007/s44403-026-00072-1. 原著ライセンス:CC BY.