著者の所属・活動拠点の国は、スペイン、イギリスです。

掲載誌:Nutrients

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

大学進学は、若者が食べ物の購入や調理、食事の時間を自分で決めるようになる大きな転機です。住まいや経済状況、人間関係が変わる時期でもあり、ここで身についた食習慣が長く続く可能性があります。これまでの研究で、英国の大学生の食べ方は人によって大きく異なることが報告されてきました。一方、出身地域が多様な大学で、食事全体の組み合わせがどうなっているかは十分に分かっていませんでした。

そこで研究チームは、英国レスターのデ・モンフォート大学に通う若者を対象に、食品群ごとの摂取状況と、食品の組み合わせから見える「食事パターン」を明らかにしようとしました。さらに、そのパターンが性別や出身地域によって異なるかも調べています。著者らは、この研究は2016年初めに集めたデータに基づく「歴史的な記録」であり、現在の英国の大学生の食生活を推定するものではないと位置づけています。

どのように調べたか

対象は2016年1月から3月中旬に評価を受けた学生111人です。平均年齢は20.4歳で、70.3%が女性でした。出生した大陸をもとに出身地域を分けると、アフリカ41人、アジア41人、ヨーロッパ27人、その他2人でした。著者らは、この大まかな地域区分を民族や文化、宗教の代わりとして扱わないよう注意を促しています。

普段の食事は、英国の大規模研究で使われてきた食物摂取頻度調査票を改良した質問票で調べました。食物摂取頻度調査票とは、さまざまな食品をどのくらいの頻度と量で食べたかを答えてもらう調査です。今回の質問票は130を超える食品・飲料を含み、過去およそ4週間の摂取をたずねました。チャパティ、ナン、プランテン、ヤムイモ、豆腐、テンペなど、多様な食文化の食品も項目に加えています。ただし、この拡張版の質問票は、別の方法と比べた妥当性の検証は行われていません。

回答は、果物、野菜、穀類、乳製品、赤肉・加工肉、菓子類、清涼飲料など15の食品群にまとめられました。そのうえで「主成分分析」を行いました。これは、一緒に食べられやすい食品群の組み合わせを統計的に見つけ出す方法です。性別や出身地域による違いを比べる際には、年齢や総エネルギー摂取量などの影響を調整しました。また、多くの比較を同時に行うと偶然の差を見つけやすくなるため、それを抑える補正も加えています。

主な結果

参加者の総エネルギー摂取量の中央値は1日あたり約2245キロカロリーでした。体格指数(BMI)が25以上の人は全体の33.3%でした。

分析の結果、三つの食事パターンが見いだされました。野菜や果物などを中心とする「植物性食品が豊富なパターン」、肉などを中心とする「動物性食品のパターン」、菓子類などを中心とする「高エネルギー・嗜好品のパターン」です。これら三つで、食品群の摂取のばらつきの46.25%を説明でき、二つのパターンにまとめた場合の35.24%を上回りました。繰り返し再標本化して安定性を確かめる検討では、パターン全体の構造はおおむね再現されました。一方、個々の食品群がどのパターンにどの程度結びつくかには、かなりの不確かさが残ると報告されています。

性別で比べると、男性は女性よりも植物性食品が豊富なパターンの得点が低く、その差は標準偏差の0.43倍分でした。出身地域による違いは、植物性食品が豊富なパターンと動物性食品のパターンで認められました。高エネルギー・嗜好品のパターンでは、地域による違いは見られませんでした。

この研究が示すこと

この研究は、同じ大学に通う若者のあいだでも、食品の組み合わせ方が性別や出身地域によって異なることを示しました。「大学生の食事」を一つの典型像でとらえることの限界がうかがえます。著者らは今回のパターンを探索的なものと位置づけています。そのうえで、より大規模で現在の集団を対象に、同様の結果が得られるかを確かめる必要があると結論づけています。

原著論文の著者・所属:Antonio Peña-Fernández(Area of Legal and Forensic Medicine, Department of Surgery, Medical and Social Sciences, Faculty of Medicine and Health Sciences, University of Alcalá, Ctra. Madrid-Barcelona, Km. 33.6, 28871 Alcalá de Henares, Spain; Leicester School of Allied Health Sciences, De Montfort University, Leicester LE1 9BH, UK)、Tomás Cámara-Pastor(Scientific Computation Research Institute (SCRIUR), University of La Rioja, 26006 Logroño, Spain)、M. Ángeles Peña Fernández(Department of Biomedical Sciences, Faculty of Pharmacy, University of Alcalá, Crta. Madrid-Barcelona Km. 33.6, 28871 Alcalá de Henares, Spain)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Antonio Peña-Fernández, Tomás Cámara-Pastor, M. Ángeles Peña Fernández. Dietary Patterns, Food-Group Profiles, and Nutritional Characteristics in a Diverse Cohort of Young Adults Attending a UK University (2016). Nutrients 2026-10-25. DOI: 10.3390/nu18213503. 原著ライセンス:CC BY.