著者の所属・活動拠点の国は、スリランカ、ニュージーランドです。

掲載誌:International Journal of Social Science Research and Review

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

スリランカでは、クラッカンと呼ばれるシコクビエ(イネ科の雑穀)が、主食として二番目に重要な位置を占めています。この穀物と深く結びついてきたのが、「クラハン・ガラ」と呼ばれる伝統的な回転式の石臼で、乾燥した気候の農村地域で広く使われてきました。

研究チームは、このクラハン・ガラについて、伝統的な技術、材料の物理的・機械的な性質、粉を挽く仕組み、そしてこの石臼で挽いた粉の性質を調べることを目的としました。

調査の方法と石臼のつくり

著者らは、中部州マータレー県のシーギリヤとカルンデワ、北中部州アヌラーダプラ県のオッタップワの村々で現地調査を行い、データを集めました。

論文によると、クラハン・ガラは耐久性の高い花崗岩を二つ組み合わせてつくられています。下の石は「ヤティ・ガラ」、上の石は「マトゥ・ガラ」と呼ばれます。下石は上石より大きく、全体を支える土台の役割を果たし、効率よく挽くことにつながっているとされています。

上石は下側がわずかに膨らんだ形をしており、中央には穀物を流し込むためのくぼみがあります。さらに、直径の両端に向かい合う位置に翼のような張り出しが二つ設けられ、挽く効率を高めていると報告されています。

石の中心をそろえる軸のピンと、回すための縦の取っ手には、キトゥルと呼ばれる耐久性のある硬い木材が使われています。強さと硬さ、水への強さがその理由だと著者らは述べています。

使い手と挽いた粉の性質

調査では、この石臼で粉を挽く作業に最も慣れ親しんでいるのは農村の女性たちであることが示されました。挽く性能は、石を回す速さや扱い方によって左右されると報告されています。

また、この挽き方ではさまざまな大きさの粒の粉ができます。研究チームによると、細かい粒の粉は、一定の容積あたりの重さを示す「かさ密度」が高く、水を吸う力も大きいことがわかりました。著者らはこれを、調理に関わる性質がより優れていることを示すものと位置づけています。こうした粒の大きさの違う粉は、伝統的なレシピに応じてさまざまな料理に使い分けられているとされています。

研究が示すこと

著者らは、伝統的な挽き方の技術や仕組み、家庭用の道具として選ばれてきた材料の使い方と、クラハン・ガラに込められた科学的な知識とのあいだに、密接な関係があることが示されたとまとめています。

日常の台所道具として受け継がれてきた石臼の形や材料の選び方に、粉を挽くうえでの合理的な工夫が反映されていることを、現地調査と粉の性質の分析から描き出した研究といえます。

原著論文の著者・所属:Uda Hettige(Department of Archaeology, University of Kelaniya, Dalugama, Kelaniya, Sri Lanka)、Lihini Kumarasingha(Faculty of Graduate Studies, University of Sri Jayewardenepura, Gangodawila, Nugegoda, Sri Lanka)、Sadeeshvara Silva Thotabaddadurage(Auckland University of Technology, Auckland, New Zealand)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Uda Hettige, Lihini Kumarasingha, Sadeeshvara Silva Thotabaddadurage. Traditional Grinding Technology in Sri Lanka: The Domestic Rotary Quern (Kurahan Gala). International Journal of Social Science Research and Review 2026-07-30. DOI: 10.47814/ijssrr.v9i7.3503. 原著ライセンス:CC BY.