あんこうは冬が旬の魚です。冬に向けて肝が大きくなり、淡白な白身に加えて、濃厚な肝も食べ頃を迎えます。鍋にすると、身の柔らかさや皮のぷるりとした食感を、一つの器で味わえます。

肝には、一切れの具として食べるだけでなく、鍋つゆそのものを作る使い道もあります。身や皮を食べ、肝の味が混ざった汁を味わう。冬のあんこうを買うときは、身のほかに皮や肝もそろうか確かめてみましょう。

鍋で味わう「七つ道具」

あんこうの身、皮、ひれ、肝、胃、えら、卵巣は「七つ道具」と呼ばれます。胃やえらも、あんこう鍋では歯ごたえのある具になります。白い身のほかにも、味わえる部位がいくつもある魚なのです。

あんこうには、口に鉤を掛けてつるし、皮や内臓、身を切り分ける「つるし切り」というさばき方があります。体が柔らかく、表面にぬめりがあって、まな板の上では安定させにくいためです。鮮魚売り場では、身や皮、肝などを鍋用に切り分けたものも売られています。

含まれる部位は商品によって違い、七つすべてがそろうとは限りません。皮付きの切り身があれば、白身と皮を食べ比べられます。肝が付いていれば、濃厚なみそ味のつゆも作れます。肝は下処理済みかどうかも、表示や売り場で確認しておくと調理に取りかかりやすくなります。

肝を炒って、鍋つゆをつくる

肝入りのみそ仕立てにするなら、肝は身や皮とは分けて用意します。身や皮などの切り身は、さっと熱湯にくぐらせて冷水に取り、表面に残った血のかたまりや汚れを落として水を切ります。鍋つゆに臭みを持ち込まないための下ごしらえです。

つゆに使う肝は、残っている薄い膜や血管を取り除き、洗って水気を拭いてから細かくたたきます。肝は脂質を多く含み、加熱すると脂がにじみ出るので、焦げつきにくい加工のフライパンなら油を足さずに炒められます。へらでつぶし、味噌を加えて練り合わせていきます。

肝と味噌がペースト状にまとまったら、水や酒を少しずつ加えてのばし、鍋つゆにします。細かくつぶした肝が汁全体に混ざるので、ひと口の汁からも、肝の濃厚でまろやかな風味を味わえます。

このつゆにあんこうの身や白菜、ねぎ、豆腐などを入れ、身も肝も中まで十分に火を通します。淡白な白身を食べるときにも、汁を含んだ白菜を食べるときにも、肝と味噌の味を一緒に味わえます。

白身と皮を味わい、締めは雑炊に

煮えたあんこうは、身と皮を一緒に取り分けてみてください。白身は柔らかく、皮やひれはぷるりとした口当たりになります。皮やひれに含まれるコラーゲンが、煮ることでゼラチンに変わるためです。皮のついた切り身なら、白身をかむ感触に皮の滑らかさが重なり、ひと口の中でも食感が変わります。

具を食べ終えたら、汁に残った骨などを除き、ご飯を加えて雑炊に。煮詰まって味が濃ければ水を足して調え、溶き卵を回し入れて火を通します。肝の風味がしみたご飯を、卵と一緒に味わえます。

次の寒い夜には、身も皮も肝もそろえて、あんこう鍋に。白身を食べたら皮のついた一切れを、続いて肝の味が広がる汁をひと口。この冬は、自宅でちょっと贅沢な鍋を楽しむか、お店で職人の味を堪能するのか、これからの季節、一つ楽しみが増える季節となりました。

※参考資料

以下の公開資料をもとにNutriMapが構成・執筆しました。