著者の所属・活動拠点の国は、クロアチア、中国です。
掲載誌:Energy Reports
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
養殖業や漁業は食料供給を支える一方、多くの水とエネルギーを必要とし、化石燃料への依存や温室効果ガスの排出が課題となっています。著者らは、水・エネルギー・食料を相互に関わるものとして捉える枠組みを使い、養殖への再生可能エネルギー導入について、利用される技術と、その効果や実現可能性を評価するモデルを整理しました。
何を、どのように調べたか
著者らはScienceDirect、Scopus、Web of Scienceから、2001~2025年の文献を収集しました。見つかった10,419件のうち、対象としての適格性と研究方法の堅牢性に関する基準を満たした66研究を選び、再生可能エネルギー技術の種類と評価モデルの系統ごとに整理しました。評価モデルには、設備の製造から利用・廃棄までの環境影響や技術面・経済面を評価するもの、システムの変化を捉えるもの、最適な設計や運用を探るものなどが含まれています。
主な報告結果
対象とした研究の範囲では、太陽光発電、とくに水面に設備を浮かべる方式や養殖と太陽光発電を組み合わせる方式が、最も開発が進み、実現可能性の高い選択肢とされました。現場への電力供給に加え、水の蒸発を減らすなどの利点も報告されています。洋上・浮体式風力やその他の海洋再生可能エネルギーは、同じ海域で養殖など複数の用途を組み合わせる仕組みで有望とされる一方、波力発電や複数のエネルギー源を組み合わせるシステムは、より初期の開発段階にありました。また、導入の実現可能性は、地域で利用できるエネルギー資源、電力網への接続、技術の成熟度、設備への生物付着や保守にかかる費用に大きく左右されると報告されています。
この報告が示すこと
著者らは、養殖への再生可能エネルギー導入は技術的に可能であるものの、どの場所にも一律に適用できるわけではないと結論づけています。既存研究は単一技術や短期間の検討に偏り、評価に含める設備や工程の範囲も統一されておらず、複数のエネルギー源を組み合わせたシステムや長期運用を検証した例は少ないと指摘しています。そのため、報告方法を標準化し、環境への影響、費用、生産を安定して続けられるかを結びつけて評価することが重要だとしています。
原著論文の著者・所属:Ana Glavina(Adria Innovation Harbour, Velika Gorica, Croatia; Faculty of Mechanical Engineering and Naval Architecture, University of Zagreb, Zagreb, Croatia)、Filip Jurić(Faculty of Mechanical Engineering and Naval Architecture, University of Zagreb, Zagreb, Croatia)、Bohong Wang(Zhejiang Ocean University, Zhoushan, China)、Hrvoje Mikulčić(Faculty of Mechanical Engineering and Naval Architecture, University of Zagreb, Zagreb, Croatia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ana Glavina, Filip Jurić, Bohong Wang, et al. Renewable energy integration in aquaculture through the water-energy-food nexus: A structured review of technologies and modelling approaches. Energy Reports 2026-11-03. DOI: 10.1016/j.egyr.2026.109854. 原著ライセンス:CC BY.