著者の所属・活動拠点の国は、インドです。
掲載誌:Plant Science Today
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的:イネ・コムギ二毛作の見直し
イネとコムギを交互に栽培するイネ・コムギ体系は、100年近く続いてきた農法です。著者らによれば、この体系は多くの栽培地域でエネルギーを多く使う方法に頼っており、土地などの自然の豊かさを損なうとされています。また、年を重ねるにつれて総合的な生産性(投入した資源全体に対してどれだけの生産が得られるか)が低下してきたことも指摘されています。
そこで研究チームは、持続可能性、エネルギー効率、作付け体系全体の生産性を両立できる作付け体系を探すことを目的としました。そのために、さまざまな作物の組み合わせについて、農作業に必要な投入物に使われるエネルギーと、収穫物、特に最終的な収量から得られるエネルギーを分析しました。
何を調べたか:8通りの作付け順を4年間比較
研究チームは2021〜22年から2024〜25年までの4年間、イネを基本とする8通りの作付け順を比べる圃場試験を行いました。作物の種類を増やす「多様化」に加え、コムギやリョクトウ(緑豆)を、畑を耕さずに種をまく不耕起栽培で育てる方法も取り入れています。
分析では、それぞれの作付け体系の中でエネルギーがどのように投入され、作物の収穫物へと変わり、利用されるのかを調べました。比較の基準には、従来のイネ・コムギ体系が用いられています。
主な結果:投入は多いが、得られるエネルギーも大きい体系
投入されたエネルギーの合計が最も多かったのは、イネ・ジャガイモ・リョクトウを組み合わせた体系で、1ヘクタール当たり6万5750メガジュールでした。次いで、イネ・野菜用エンドウ・不耕起コムギの体系が3万8670メガジュール、イネ・不耕起コムギ・不耕起リョクトウの体系が3万7887メガジュールでした。一方、論文は、イネ・野菜・リョクトウの体系が従来のイネ・コムギ体系より11%少ないエネルギーで済んだとも報告しています。
収穫物として得られたエネルギーの合計は、イネ・ジャガイモ・リョクトウの体系が1ヘクタール当たり推計20万7708メガジュールで、イネ・コムギ体系の3万4330メガジュールより有意に高い値でした。得られたエネルギーから投入したエネルギーを差し引いた正味のエネルギー収益も、この体系がほかの体系より有意に高いと推計されています。
著者らによると、イネ・ジャガイモ・リョクトウの体系は、従来のイネ・コムギ体系より投入資源のエネルギーを約91%多く消費しました。それでも、投入エネルギーに対してどれだけの生産が得られたかを示すエネルギー生産性は60%高くなりました。さらに、体系全体の生産性は1.83倍、収益性は1.48倍に高まったと報告されています。
研究が示すこと
この研究は、エネルギーの投入量が少ないことだけでは作付け体系の良し悪しを判断できないことを示しています。イネ・ジャガイモ・リョクトウの体系は多くのエネルギーを必要としましたが、それを上回る量のエネルギーを収穫物として生み出しました。その結果、エネルギー生産性、体系全体の生産性、収益性のいずれも、従来のイネ・コムギ体系を上回ったと研究チームは報告しています。長く続いてきた二毛作を見直すうえで、作物の組み合わせを多様にすることが一つの選択肢になりうることを示した研究といえます。
原著論文の著者・所属:T Pandiaraj(College of Agriculture, Acharya Narendra Deva University of Agriculture and Technology, Kotwa, Azamgarh 276 001, Uttar Pradesh, India)、Y Prakash(College of Agriculture, Acharya Narendra Deva University of Agriculture and Technology, Kotwa, Azamgarh 276 001, Uttar Pradesh, India)、K Vinod(College of Agriculture, Acharya Narendra Deva University of Agriculture and Technology, Kotwa, Azamgarh 276 001, Uttar Pradesh, India)、D K Singh(College of Agriculture, Acharya Narendra Deva University of Agriculture and Technology, Kotwa, Azamgarh 276 001, Uttar Pradesh, India)、Y Vikas(Indian Council of Agricultural Research-Central Institute for Arid Horticulture Research Station, Godhra 389 340, Gujarat, India)、Y Aina(Department of Biotechnology, Shri Venkateshwara University, Gajraula 244 236, Uttar Pradesh, India)、S Anand(College of Agriculture, Acharya Narendra Deva University of Agriculture and Technology, Kotwa, Azamgarh 276 001, Uttar Pradesh, India)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):T Pandiaraj, Y Prakash, K Vinod, et al. Energy productivity and system performance of diversified rice-based cropping systems. Plant Science Today 2026-09-22. DOI: 10.14719/pst.11801. 原著ライセンス:CC BY.