著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Zona Kebidanan Program Studi Kebidanan Universitas Batam

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の背景と目的

赤ちゃんが生後6か月まで母乳だけで育つ「完全母乳育児」は、乳児の健康や発育を支える重要な取り組みとされています。しかし、論文が引用する報告によると、インドネシアの完全母乳育児の割合は33.6%で、乳児の3人に1人程度にとどまっています。研究が行われたインドネシア・リアウ諸島州のタンジュンバライカリムンでは、地域の保健記録で2014年8.6%、2015年11.5%、2016年8.4%と、さらに低い水準が続いていました。

著者らは、完全母乳育児がうまくいかない主な理由として、産後すぐに母乳が十分に出ないことを挙げています。こうした問題に対して、インドネシアでは母乳の分泌を助けると伝統的に考えられてきた食材があり、パパイヤの葉もその一つです。論文では、パパイヤの葉がたんぱく質、鉄、カリウムなどを含み、先行研究で母乳の分泌を助ける可能性が報告されてきたことが紹介されています。

一方で、授乳に関する体系的な教育と、パパイヤの葉の炒め物を食べるという身近な方法を組み合わせた取り組みについては、これまで十分に調べられていませんでした。そこで研究チームは、パパイヤの葉の炒め物を取り入れた授乳教育によって、産後の母親が母乳の分泌に関してどの程度知識を深めるかを調べることを目的としました。

どのように調べたか

研究は2024年1月から8月にかけて、タンジュンバライカリムンで行われました。対象は授乳中の産後の母親34人で、調査期間中に協力を得られた人を順に参加者とする方法で集められました。

参加者は、研究者による約20〜30分の教育を1回受けました。内容は、母乳育児の大切さ、母乳の出に影響する要因、授乳の実践、そして授乳を支える食材の選択肢としてのパパイヤの葉の利用についてで、最後に質疑応答の時間も設けられました。

教育の前と後に、研究者が作成した同じ内容の質問票で母親たちの知識を測り、同じ人の前後の点数を比べる統計手法で変化を分析しました。なお、著者らは、この研究が調べたのはあくまで母親の知識の変化であり、母乳の量や分泌そのものは直接測定していないと明記しています。

主な結果

質問票による知識の平均点は、教育前が14.26点、教育後が17.50点で、平均3.24点上昇しました。

統計的な検定では、この前後の差はp=0.001でした。研究チームは判断の基準をp<0.05としており、この結果から、点数の上昇は偶然のばらつきだけでは説明しにくい「統計的に意味のある差」であると報告しています。著者らは、パパイヤの葉の炒め物を取り入れた授乳教育によって、母乳の分泌に関する産後の母親の知識が向上したと結論づけています。

この研究が示すこと

この研究は、地域で手に入りやすい食材を題材にした短時間の授乳教育でも、産後の母親の知識を高められたことを示しています。著者らは、産後は母親が助言や支援を受け入れやすい時期であり、この教育を日常的な産後ケアに取り入れることが母乳育児の推進につながる可能性があると述べています。

ただし、この研究で確かめられたのは教育前後の知識の変化であり、パパイヤの葉を食べることで実際に母乳の量が増えたかどうかは調べられていません。研究から読み取れるのは、身近な食材を手がかりにした教育が、母乳育児について母親が学ぶきっかけになり得るという点です。

原著論文の著者・所属:Desi Ariyanti(Universitas Batam)、Arum Dwi Anjani(Universitas Batam)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Desi Ariyanti, Arum Dwi Anjani. LACTATION EDUCATION MANAGEMENT THROUGH THE CONSUMPTION OF STIR-FRIED PAPAYA LEAVES TO IMPROVE POSTPARTUM MOTHERS' KNOWLEDGE. Zona Kebidanan Program Studi Kebidanan Universitas Batam 2026-09-30. DOI: . 原著ライセンス:CC BY.