ワレモコウ属(Sanguisorba属)は、庭先や野原でよく見かける多年草の仲間です。花壇を彩る観賞用植物として親しまれてきましたが、実は昔から一部の地域で食用や薬用にも利用されてきた植物でもあります。今回、学術誌「モレキュルズ」に、庭で栽培されたワレモコウ属の栄養成分とポリフェノール(植物由来の機能性成分)を詳しく調べた研究が2026年08月に掲載予定です。

この研究では、ワレモコウ属の3種類、すなわちSanguisorba officinalis(オランダワレモコウ)、その園芸品種である'Tanna'、そしてSanguisorba menziesiiという植物が対象とされました。それぞれの葉と花が付いた茎(花茎)を採取し、さらに葉と茎に分けて栄養成分やポリフェノールの含有量が分析されています。

研究でわかったこと

分析の結果、これらの植物は食物繊維が非常に豊富であることが示されました。部位によって差はあるものの、食物繊維含量は乾燥重量100gあたり37.8〜67.7gという高い数値が報告されています。また、タンパク質も5.3〜19.5g/100g、ミネラル分を示す灰分も3.8〜9.9g/100gと、いずれも栄養価の高さを示す結果となりました。

さらに注目されるのは、ポリフェノールの含有量です。ワレモコウ属は乾燥重量の1〜11%という高い割合でポリフェノールを含んでおり、中でも「ランベルティアニンC」や「サンギインH-6」といったエラジタンニン(タンニンの一種であるポリフェノール化合物)が主成分であることが判明しました。試料によっては、これらのエラジタンニンが検出された全ポリフェノールの90%以上を占めていたと報告されています。

研究チームは、こうした食物繊維・タンパク質・エラジタンニンの含有量に加え、味や香りの良さにも着目し、食品への活用可能性を検討しています。その結果、葉はスープやスムージーといった料理への利用に適している一方、茎は食物繊維やポリフェノールを豊富に含む食品原料として活用できる可能性が示唆されています。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

この研究は、庭で栽培されたワレモコウ属3種の成分を分析したものであり、特定の健康効果を証明したり、病気の予防や治療効果を示したりするものではありません。あくまで栄養成分とポリフェノール含有量を明らかにした基礎的な分析研究である点に留意が必要です。また、対象となった植物の種類や栽培条件は限定的であり、この結果がすべてのワレモコウ属や栽培環境に当てはまるとは限りません。一つの研究であり、結論が確定したものではない点を念頭に置いて読んでいただければと思います。

まとめ

今回の研究により、観賞用としても親しまれるワレモコウ属が、食物繊維やタンパク質、そしてエラジタンニンを豊富に含む植物であることが明らかになりました。研究チームは、これらの植物が栄養価が高く味も良いだけでなく、庭の景観を美しくし、花粉を運ぶ昆虫たちにも役立つ植物として、食用ハーブの選択肢の一つになりうると述べています。身近な庭の植物が持つ意外な一面を教えてくれる、興味深い研究といえるでしょう。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:庭で栽培されたサンギソルバの栄養およびフィトケミカルプロファイル(モレキュルズ・2026年08月)