リンゴジュースやピューレを作ると、皮や芯、果肉の残りかすが大量に出ます。これらは「副産物」として廃棄されることが多いのですが、実はまだ食物繊維やポリフェノールなどの成分が残っています。この廃棄物をどうにか活用できないか、という発想から生まれたのが今回紹介する研究です。
注目されたのは、紫外線C(UV-C)という光を使った処理法です。UV-Cは食品の殺菌などにも使われる技術で、化学薬品を使わない「グリーン技術」として知られています。近年は食品廃棄物を減らし、環境に優しい方法で再利用したいというニーズが高まっており、この研究もそうした流れに沿ったものです。
研究でわかったこと
研究チームは、リンゴの副産物にUV-C照射を5分間行いました。その後、4℃で1日(D1)、4日(D4)、7日(D7)保存し、それぞれの時点で食物繊維の組成やポリフェノール含量、抗酸化能を調べました。
その結果、UV-C処理をしたサンプルはすべて、無処理の対照群と比べて可溶性食物繊維が有意に増加していたという結果でした。可溶性食物繊維は水に溶けやすいタイプの食物繊維です。
食物繊維全体の量についても、D1とD4のサンプルで有意な増加が見られました。一方で、不溶性食物繊維の割合は有意に減少していたことも確認されています。
ポリフェノール含量と抗酸化能についても、UV-C処理をしたサンプルすべてで有意な増加が示されました。ただし、この増加の程度は保存期間が長くなるほど小さくなる傾向があったとされています。つまり、処理直後ほど効果が大きく、日数がたつにつれてその効果は弱まっていったということです。
これらの結果から、研究チームはUV-C照射がリンゴ副産物の食物繊維と抗酸化能を高める上で有効だったとまとめています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
今回の要旨には、具体的な増加量の数値や、どのような食品への応用が想定されるかといった詳細は記載されていません。あくまで一つの研究であり、結論が確定したわけではない点に注意が必要です。
また、保存期間が長くなるほど効果が小さくなるという結果は、実際に活用する際の処理タイミングを考えるうえで重要な手がかりになりそうです。
まとめ
この研究では、リンゴジュースなどの製造過程で出る副産物に対し、UV-C照射という環境負荷の低い技術を使うことで、食物繊維や抗酸化に関わる成分を増やせる可能性が示されました。廃棄されがちな食品副産物を有効活用する一つの手法として、UV-C処理の効果が確認された研究だと言えます。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:リンゴ副産物の高付加価値化戦略としてのUV-C処理:食物繊維、ポリフェノール、抗酸化能の増強(フード・サイエンス・アンド・テクノロジー・インターナショナル・2026年08月)