スポーツの国際大会には、選手や観客だけでなく、運営を支える多くのボランティアが関わっています。こうしたボランティアは日常的にスポーツに関わる環境に身を置いている一方で、彼らの食習慣がどのようなものか、そしてそれが性別や年齢、学歴、体格といった社会人口統計学的な特性とどう関連しているのかについては、これまであまり調べられてきませんでした。食習慣は健康やウェルビーイングに関わる、変えることのできる要因のひとつとされており、この集団の実態を把握することには意味があると考えられます。

この研究では、ポーランド・ポズナンで開催された国際スポーツイベントに参加したスポーツボランティア297人(女性184人、男性113人)を対象に、横断的な調査が行われました。食習慣の把握には、ポーランドの国立公衆衛生研究所および国立栄養教育センターの食事に関する推奨事項に基づいて作成された、20項目からなる食習慣質問票が用いられました。調査対象となったのは、食事の回数、果物・野菜・穀類製品・肉類・乳製品・魚・菓子類・加糖飲料・塩味スナック・調理済み食品・豆類・水の摂取状況、および間食を控える、食事の量を調整するといった食行動など、20の具体的な項目です。あわせて性別、年齢、学歴、BMI(体格指数)も記録されました。

研究でわかったこと

統計解析では、まず各食習慣と社会人口統計学的特性との単純な関連をカイ二乗検定で調べ、有意な関連が見られた食習慣についてはさらに多変量ロジスティック回帰分析が行われました。その結果、20の食習慣のうち、社会人口統計学的特性によって有意に異なっていたのはごく一部にとどまりました。

具体的には、果物を毎日食べると答えた割合は女性46.8%に対し男性28.1%、野菜を1日3皿以上毎日食べる割合は女性44.1%に対し男性28.9%と、いずれも女性の方が高い傾向が示されました。年齢については、18歳の参加者は他の年齢層と比べて、果物の毎日摂取や肉類を1日1回以内に抑える習慣において異なる傾向が見られました。学歴に関しては、初等教育レベルの参加者の方が高等教育を受けた参加者よりも果物を毎日食べる割合が高いという結果でした(48.8%対25.3%)。BMIについても、果物摂取、食間の間食を控えること、食事の量を調整することなど、複数の食行動との関連が確認されました。

さらに多変量解析を行ったところ、女性であることは果物・野菜の摂取と独立に関連し続け、若い年齢層であることは果物の毎日摂取および肉類摂取量の少なさと独立に関連していました。BMIも果物の毎日摂取と独立した関連を示した一方で、学歴については調整後には統計的な関連が見られなくなりました。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

著者らは、今回調べた20の食習慣の大半は、性別・年齢・学歴・BMIといった社会人口統計学的特性によって有意な差が見られなかったことを強調しています。観察された関連は一部の食行動に限られ、要因ごとに異なるパターンを示すものでした。著者らは、今後の研究では身体活動量やボランティア活動そのものの特徴、社会経済的な条件など、食行動に影響しうる他の要因についても検討する必要があると述べています。この研究は特定の大会に参加したボランティアを対象とした一時点の横断調査であり、この一つの結果だけで結論が確定したわけではない点に留意が必要です。

まとめ

今回の調査は、スポーツボランティアという特徴的な集団の食習慣に焦点を当てたものです。果物や野菜の摂取など一部の食行動については性別・年齢・BMIとの関連が示唆されましたが、調べられた食習慣の多くは社会人口統計学的特性による違いが見られませんでした。スポーツを支える人々の食生活を理解するための、ひとつの手がかりを示す研究といえます。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:スポーツボランティアの食習慣と社会人口統計学的特性との関連:横断研究(ダイエテティクス・2026年08月)