著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Randwick International of Social Science Journal

ライセンス: CC BY-SA 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

冠水した農地の活用を地域で学ぶ

水に覆われた状態が続く農地では、通常の稲作が難しくなります。研究チームは、インドネシアの北スマトラにあるルブック・バヤス村で、水上に浮かべた足場での稲作と魚の飼育を紹介する地域活動を調べました。目的は、導入初期にどのような活動が実施され、住民がどう参加したのか、継続的な共同管理には何が必要なのかを明らかにすることでした。

この研究の中心は、米や魚の生産性を比較する実験ではなく、新しい農法を地域で学ぶ場がどのようにつくられたかを記述することです。著者らは、実演設備が設置されたことと、暮らしへの効果が確かめられたことを区別して紹介しています。

記録からたどった実演と住民の参加

著者らは、2026年の活動進捗報告書、稲作と魚の管理に関する説明資料、活動写真、教材用の書籍草稿を振り返って検討しました。実施済みの活動と、教材に示された手順や今後の計画を分けて読み取り、導入段階の取り組みを整理しました。

記録によると、住民は地域の課題を話し合い、現場の準備、竹製の浮体の組み立て、植え床の下に敷くシートの取り付け、泥や堆肥などの配置、田植えに参加しました。説明を聞くだけでなく、実物を見ながら作業を経験できる場が設けられたことが、主な報告結果です。

魚に関する指導では、ナイルティラピアの稚魚選び、水に慣らす手順、給餌、水の状態や魚の様子の観察が取り上げられました。市販の配合飼料への依存を減らすことを目指し、水生植物のアゾラやアメリカミズアブの幼虫も代替飼料の候補として紹介されました。

確認されたのは、共同で学ぶ場の成立

研究チームが主要な成果として報告したのは、浮体を使った稲作の実演設備、住民が実作業に参加する機会、教材などが整ったことです。著者らは、冠水という地域の課題を、住民と支援者が一緒に学ぶ題材にできたと捉えています。

一方、この記録からは、参加者の知識や技能がどれだけ向上したか、米や魚がどれほど収穫できたか、飼料費や所得、家庭の食料確保が改善したかまでは確認されていません。代替飼料の効果や、稲と魚を組み合わせることによる生産上の利点が実証されたという報告でもありません。

この事例が伝えるのは、使いにくくなった農地を活用する試みが、地域の共同学習の場になり得るということです。その意味は、生産や所得への効果を示した点ではなく、新しい方法を住民が実際に見て、作業し、管理について考える足場をつくった点にあります。

原著論文の著者・所属:Sri Fajar Ayu(Study Program of Agribusiness, Faculty of Agriculture, Universitas Sumatera Utara, Indonesia)、Meiriani Meiriani(Study Program of Agribusiness, Faculty of Agriculture, Universitas Sumatera Utara, Indonesia)、Revandy Iskandar Muda Damanik(Study Program of Agrotechnology, Faculty of Agriculture, Universitas Sumatera Utara, Indonesia)、Nahrisa Rahmadhani(Study Program of Agrotechnology, Faculty of Agriculture, Universitas Sumatera Utara, Indonesia)、Atmadinata Aviantara(Study Program of Aquatic Resources Management, Faculty of Agriculture, Universitas Sumatera Utara, Indonesia)、Sukmawati Utami(Study Program of Animal Husbandry, Faculty of Agriculture, Universitas Sumatera Utara, Indonesia)、Patricia Srisere Ikaria Situmorang(Department of Agribusiness, Faculty of Agriculture, University of HKBP Nommensen, Indonesia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Sri Fajar Ayu, Meiriani Meiriani, Revandy Iskandar Muda Damanik, Nahrisa Rahmadhani, Atmadinata Aviantara, Sukmawati Utami, Patricia Srisere Ikaria Situmorang Participatory Learning Through Floating Rice and Fish Integration in Lubuk Bayas Indonesia. Randwick International of Social Science Journal 2026-10-31. DOI: 10.47175/rissj.v7i4.1348. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。