著者の所属・活動拠点の国は、アメリカです。
掲載誌:World s Poultry Science Journal
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の背景と目的
世界で生産される食料のおよそ3分の1は、最終的に廃棄されているとされます。著者らが紹介する推計によると、廃棄される食料を育てるために使われる土地は、オーストラリアの国土の2倍を超える広さに相当します。オーストラリア一国が廃棄する分だけでも、ビクトリア州より広い土地に相当するといいます。
20億人以上が食料不安に直面しており、世界人口は2050年までに約97億人に達すると見込まれています。工業化による環境への悪影響も続いています。こうした状況から、限られた天然資源をより効率よく使う新しい方策が求められている、と著者らは指摘します。この研究は、将来の計画を立てる前提として、まず現状を把握することを目指しています。
過去25年ほどの間、食品廃棄物を産業規模で家畜の飼料として再利用する考え方は、多くの研究者や農業関連産業の関心を集めてきました。著者らは、なかでも家禽(鶏などの食用の鳥)産業がこの取り組みに適していると見ています。その理由として、家禽産業がすでに副産物を利用していること、生産が集約的であること、事業が統合された形で営まれることが多いことを挙げています。
何を調べたか
研究チームは、既存の研究を集めて比較する文献レビューを行いました。比較の観点は、廃棄される食料や資源の量と価値、さまざまな種類の食品廃棄物に含まれる栄養成分、そしてそれらを家禽の飼料として使える可能性の三つです。
レビューでは世界各地の研究を検討し、最終的にオーストラリアの状況に焦点を当てました。オーストラリアでは、国民1人当たりで最も多く消費されているたんぱく源が家禽肉です。
主な結果
レビューでは、食品廃棄が生じる多くの原因が確認されました。あわせて、廃棄に対処するために新たに登場しつつある方策もいくつか示されました。
課題として多くの研究で共通して挙げられていたのは、食品廃棄物の栄養成分にばらつきがあることでした。一方で著者らは、研究者の間でおおむね一致した見方があると報告しています。それは、廃棄物の出どころによっては、トウモロコシや大豆かす(大豆粕)といった従来の飼料原料の代わりに食品廃棄物を家禽の飼料として使うことが可能であり、生産面での損失を伴わず、経済的な利点も見込まれる、というものです。
この研究が示すこと
この文献レビューは、食品廃棄物を家禽の飼料として循環させる考え方について、既存研究の知見を整理したものです。栄養成分のばらつきという課題がある一方で、廃棄物の出どころによっては従来の飼料原料の代わりになりうるという見方が研究者の間で共有されていることを伝えています。オーストラリアの家禽産業で資源の無駄を減らす道筋を考えるうえで、現状を把握する手がかりとなる研究です。
原著論文の著者・所属:Rebel A. Northey(University of New England)、Thi Hiep Dao(University of New England; Vietnam National University of Agriculture)、James Turnell(University of New England)、Amy F. Moss(University of New England)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Rebel A. Northey, Thi Hiep Dao, James Turnell, et al. Opportunities for creating a circular economy in the Australian poultry industry. World s Poultry Science Journal 2026-09-25. DOI: 10.1080/00439339.2026.2731346. 原著ライセンス:CC BY.