著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Journal of Global Sustainable Agriculture
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的:ナゲットにする前の「下ごしらえ加熱」に注目
パンガシウス(Pangasius hypophthalmus)は、インドネシアで養殖が盛んな淡水魚で、ナマズの仲間です。著者らは、生産量が増えるこの魚の付加価値を高める加工品として、魚肉ナゲットに注目しました。ナゲットは魚肉をすりつぶしてつなぎと混ぜ、成形して衣を付ける加工食品で、調理が手軽で幅広い年代に好まれるとされています。
論文によると、これまでの魚ナゲット研究は、原料配合の工夫、機能性素材の添加、仕上げの揚げ方などに関するものが中心でした。一方、ナゲットに成形する前に魚の切り身をどう加熱するか、その方法と時間の組み合わせが、成分と食べたときの評価にどう影響するかをまとめて調べた研究は限られていました。そこで研究チームは、下ごしらえとしての加熱方法と加熱時間を最適化し、成分面と官能面の両方で品質の良いナゲットを作る条件を探りました。
何を比べたのか
加熱方法は「ゆでる」と「蒸す」の2通りで、いずれも約100℃の熱湯または蒸気で切り身を加熱しました。加熱時間は25分、45分、65分の3段階とし、合わせて6通りの条件を3回ずつ繰り返して比較しました。加熱した魚肉は冷ましてから細かく砕き、小麦粉、タピオカ粉、卵、にんにく、塩、砂糖、こしょうと混ぜて型に入れ、蒸して火を通した後、切り分けて卵液とパン粉の衣を付けて試料としました。
調べた項目は、タンパク質含量と水分含量という成分面の指標と、色、香り、味、弾力という官能面の指標です。官能評価は、評価者が「とても好き(5)」から「とても嫌い(1)」までの5段階で好ましさを点数化する方法で行われました。
主な結果:25分間蒸した条件が総合的に良好
研究チームは、加熱方法と加熱時間がナゲットのタンパク質含量と水分含量に明確な影響を与えたと報告しています。タンパク質含量は15.71〜21.80%の範囲で、25分間蒸した条件で最も高く(21.80%)、65分間ゆでた条件で最も低くなりました。水分含量は47.64〜50.01%の範囲で、反対に25分間蒸した条件で最も低く、65分間ゆでた条件で最も高くなりました。タンパク質が多い条件ほど水分が少ないという逆の関係が見られたといいます。
著者らはこの違いについて、ゆでる場合は魚肉が湯に直接触れるため水に溶ける成分が湯へ流れ出やすく、蒸す場合はその損失が比較的小さいことや、水分が増えると相対的にタンパク質などの固形分の割合が下がることを、先行研究を引きながら考察しています。
官能評価でも、25分間蒸した条件が色(4.32)、香り(3.88)、味(4.40)で最も高い点数を得ました。弾力については、45分間(および65分間)蒸した条件が3.96で最高点でしたが、本文では弾力について条件間の差は統計的に明確でなかったと報告されています。著者らは、加熱を長くすると食感は締まる可能性がある一方、色や香り、味の好ましさが上がるとは限らないと述べています。
この研究が示すこと
研究チームは、蒸す方法がゆでる方法よりタンパク質を保ち水分を抑える点で優れており、なかでも25分間蒸す条件が、成分と食べたときの好ましさの両面から、パンガシウスのナゲットづくりに最も適した下ごしらえ条件であると結論づけています。ナゲットの仕上がりは配合や揚げ方だけでなく、成形前の魚の加熱の仕方と時間によっても左右されることを、具体的な比較で示した研究といえます。
原著論文の著者・所属:Alhanannasir Alhanannasir(Program Studi Teknologi Pangan, Fakultas Pertanian, Universitas Muhammadiyah Palembang, Palembang, Sumatera Selatan, Indonesia)、Suyatno Suyatno(Program Studi Teknologi Pangan, Fakultas Pertanian, Universitas Muhammadiyah Palembang, Palembang, Sumatera Selatan, Indonesia)、Alfando Wedyan Pratama(Program Studi Teknologi Pangan, Fakultas Pertanian, Universitas Muhammadiyah Palembang, Palembang, Sumatera Selatan, Indonesia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Alhanannasir Alhanannasir, Suyatno Suyatno, Alfando Wedyan Pratama. Optimization of Cooking Method and Cooking Duration for Enhancing the Quality of Pangasius (Pangasius hypophthalmus) Fish Nuggets. Journal of Global Sustainable Agriculture 2026-08-26. DOI: 10.32502/jgsa.v6i2.2040. 原著ライセンス:CC BY.