ジャックフルーツは東南アジアなどで親しまれている大きな果物ですが、その種子は食用として利用されることが少なく、多くが廃棄されている副産物です。しかし種子には栄養成分や生理活性化合物(健康に関わる可能性が注目される植物由来の成分)が含まれていると考えられており、粉末に加工して食品素材として活用できないかという関心が高まっています。今回紹介する研究では、ジャックフルーツの種子を粉にする際に「褐色の種皮を残すかどうか」と「加熱方法(茹でる・蒸す)」を変えることで、色や栄養成分、抗酸化活性、粉としての機能特性がどのように変化するかを調べています。

研究でわかったこと

研究チームは、ジャックフルーツの種子を「生」「茹でた状態」「蒸した状態」に分け、それぞれについて褐色の種皮を残した場合と取り除いた場合の粉末を作成しました。比較のために、米粉や小麦粉も参照用のサンプルとして用いられています。

まず見た目については、種皮を残すことで粉の明るさ(白さ)が下がり、赤みが増すことが確認されました。栄養成分に関しては、ジャックフルーツ種子粉は米粉や小麦粉と比べて全体的に灰分・たんぱく質・食物繊維の含有量が高い傾向がみられ、さらに種皮を残すことで食物繊維の含有量がより高くなることが示されました。また、健康との関わりで注目される成分の一つであるβ-グルカンの含有量は、サンプルによって56.11〜286.71 mg/gと幅があることが報告されています。

抗酸化活性に関わる指標(総ポリフェノール含量や総フラボノイド含量など)については、褐色の種皮そのもののサンプルが最も高い値を示し、次いで種皮を残した粉末が高い値を示したとされています。一方で、加熱処理を行うと生理活性化合物や抗酸化活性は全体的に低下する傾向がみられましたが、種皮を残した粉末においては、茹でるよりも蒸す方が生理活性化合物や抗酸化活性、β-グルカン含量をより多く保持できることが示されました。さらに詳細な成分分析(ヒートマップ解析)では、シンナミン酸、ゲンチジン酸、ミリセチン、ケルセチンといった化合物が主要な成分として挙げられています。

粉としての機能特性についても調べられており、ジャックフルーツ種子粉は水溶性指数(WSI)や保水力(WHC)が参照用の米粉・小麦粉より高い一方、油の保持力(OHC)や水への溶けやすさに関する別の指標(WSC)はおおむね同程度であったと報告されています。

この研究の位置づけと読むうえでの注意

この研究は、これまで十分に活用されてこなかったジャックフルーツの種子について、種皮の有無や加熱方法という加工条件の違いが成分や機能性に与える影響を比較したものです。褐色の種皮を残した種子粉が、食物繊維や生理活性化合物の面で優れた可能性を持つこと、また蒸すという加熱方法が茹でるよりもこれらの成分を保持しやすい可能性があることが示唆されています。ただし、これはあくまで一つの研究による結果であり、実際の食品への応用効果や、ヒトが摂取した際の影響までを示したものではありません。研究で示された数値や傾向がそのまま健康効果を保証するものではない点にも留意が必要です。

まとめ

今回紹介した研究は、廃棄されがちなジャックフルーツの種子について、種皮を残すことや蒸すという加工方法の工夫によって、食物繊維や生理活性化合物、抗酸化活性を高く保てる可能性を示したものです。未利用資源を機能性のある食品素材として活用していくための基礎的な知見の一つといえそうです。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:褐色種皮の残存および加熱処理がジャックフルーツ種子粉の栄養組成、生理活性化合物、抗酸化活性、機能特性に及ぼす影響(フーズ・2026年07月)