チョコレートやキャラメルといったお菓子に、通常とは違う乳製品原料を加えたら、味や食感、そして食べる人の好みはどう変わるのでしょうか。今回紹介するのは、乳タンパク質を多く含む粉末原料や、乳製品づくりの過程で生まれる副産物を、チョコレートとキャラメルに取り入れて、その品質と消費者の受け入れやすさを調べた研究です。

近年、乳タンパク質分離物(MPI)や乳タンパク質濃縮物(MPC)といった「次世代」の乳粉末を食品に加えることで、タンパク質含有量を高める試みが注目されています。またMPCやMPIをつくる過程では、ミルクパーミエート粉末(MPP)と呼ばれる副産物が生じます。MPPはこれまで廃棄物として扱われることが多かったものの、サステナビリティ(持続可能性)への関心の高まりとともに、食品への活用が注目されるようになってきました。ただし、こうした原料をチョコレートやキャラメルのようなお菓子に使った研究はまだ少ないとされています。

研究でわかったこと

この研究ではまず、チョコレートに乳タンパク質粉末やMPPを配合したバッチを作り、品質を評価しました。具体的には、割れやすさ(フラクチャラビリティ)、溶ける際の特性、そして「ブルーム」と呼ばれる表面の白化現象を、製造から0週から24週にかけて白色度指数(WI)で追跡しています。

その結果、チョコレートを溶かすのに必要なエネルギーや溶け始めの温度には、統計的に意味のある差は見られませんでした。一方で、保存期間が長くなるほど、溶けきる際のピーク温度には差が生じたとされています。また、時間の経過とともに食感はやわらかくなる傾向が確認されました。目に見えるブルームの発生はなく、白色度指数も安定していたということです。

消費者による官能評価では、乳タンパク質濃縮物(MPC85%配合)と脱脂粉乳(SMP)を使ったチョコレートが、ほぼすべての評価項目で最も高い好意度を得たとされています。この結果は、ミルクチョコレートにおいて脱脂粉乳の代わりにMPC85%を使っても、悪い影響が出ない可能性を示唆していると報告されています。

次にキャラメルについては、グラニュー糖の0%、25%、50%、75%、100%をMPPに置き換えたソフトキャラメルを用意し、食感、冷えたときの流動性(コールドフロー)、色、水分量などを調べました。MPPの配合割合は、キャラメルの水分量やコールドフローには大きな影響を与えなかったとされています。一方で、MPPの割合が増えるほど、硬さや粘着性、そして赤み・黄みといった色合いは強くなる傾向が示されました。

消費者評価では、MPPを含まないキャラメルと25%配合のキャラメルがほぼすべての項目で最も好まれ、50%配合のものはやや評価が下がるものの、比較的近い水準にとどまったとされています。商品としての受け入れやすさや「購入したいか」という質問への回答も、同様の傾向を示したということです。これらの結果から、研究チームは、砂糖の25%程度までをMPPに置き換えても悪影響がなく、50%程度までであれば標準的なキャラメルとおおむね同等の評価が得られる可能性がある、とまとめています。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

この研究は、乳製品由来の原料、特にこれまで廃棄物とみなされがちだったミルクパーミエート粉末を、サステナブルな菓子原料として活用できる可能性を示すものだとされています。ただし、これは一つの研究であり、ここで示された結果がすべての製品や条件に当てはまるとは限りません。評価されたのはあくまで特定の配合・条件下でのチョコレートとキャラメルであり、健康面での効果や安全性を保証するものでもない点には注意が必要です。

まとめ

今回紹介した研究では、チョコレートに乳タンパク質濃縮物(MPC85%)を使っても脱脂粉乳と同程度に好まれること、キャラメルでは砂糖の一部をミルクパーミエート粉末に置き換えても品質や好意度が大きく損なわれないことが報告されました。副産物とされてきた乳製品原料を、サステナブルな菓子づくりに活かす一つの可能性を示す研究といえそうです。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:チョコレートとキャラメルへの乳製品原料の配合:製品品質、保存期間、消費者受容性への影響(ダイジタル・コモンズ(ユタ州立大学)・2026年08月掲載予定)