著者の所属・活動拠点の国は、ドイツです。

掲載誌:Starch - Stärke

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

エンドウ豆から取り出したでんぷんには、精製の過程で取り切れなかったたんぱく質や食物繊維がわずかに残ることがあります。こうした残留成分は、でんぷんを製品に使ったときの性質に影響しうるとされていますが、どの程度の量でどれだけ影響するのかは、はっきりしていませんでした。

著者らは、より環境負荷の少ない分離方法を採用すると、残留成分が減るどころか増える可能性があると指摘しています。そこで研究チームは、残留成分がエンドウ豆でんぷんの性質や、でんぷんを加熱して冷やすことでできる水を含んだゲル(ハイドロゲル)にどう影響するのかを調べました。

どのように調べたか

研究チームは、乾燥重量(水分を除いた重さ)の最大16%を、たんぱく質、食物繊維、またはその両方の混合物に置き換えたゲルを作り、その性質を調べました。

残留成分を加えると、そのぶんでんぷんの割合が下がります。そのため、見られた変化が「でんぷんが薄まったこと」によるのか、「残留成分とでんぷんの相互作用」によるのかを区別する必要があります。研究チームは、乾燥重量の合計を一定にした条件と、でんぷんの量を一定にした条件を用意し、さまざまな配合や比較用の試料と組み合わせて、この二つの要因を切り分けました。

さらに、強いせん断(激しくかき混ぜるなどして力を加える処理)や、125℃での加熱調理といった、異なる処理方法の影響も調べています。

主な結果

ゲルの強さ(硬さ)は、主にでんぷんの濃度によって左右されていました。乾燥重量を一定にした条件では、残留成分が増えるにつれてゲルの強さが約35%低下し、およそ19.6〜21.1ニュートンから12.1〜13.1ニュートンになったと報告されています。一方、でんぷんの量を一定にした条件では、変化はわずかでした。

これに対し、ゲルから水がしみ出す現象である離水は、残留成分が増えると7.8%から16.4〜19.6%へと増加しました。著者らは、この離水の増加には、でんぷん濃度の変化と、残留成分との相互作用の両方が関わっていると結論づけています。

処理方法については、強いせん断は主に離水を減らしました。また、125℃での加熱調理では、ゲルはより柔らかくなる一方で離水が少なくなり、成分の配合による影響も受けにくくなったと報告されています。

この研究が示すこと

この研究は、エンドウ豆でんぷんに残るたんぱく質や食物繊維が、ゲルの硬さには主にでんぷんが薄まることを通じて、離水にはそれに加えて成分どうしの相互作用を通じて影響することを示しました。また、処理方法によってこうした影響の現れ方が変わることも報告されています。残留成分の量や処理条件がゲルの性質にどう関わるのかを整理した点に、この研究の意義があります。

原著論文の著者・所属:Tim Terstegen(Department of Food Technology and Food Chemistry, Chair of Food Process Engineering Technische Universität Berlin Berlin Germany)、Paul Georg Tiede(Department of Food Technology and Food Chemistry, Chair of Food Process Engineering Technische Universität Berlin Berlin Germany)、Eckhard Flöter(Department of Food Technology and Food Chemistry, Chair of Food Process Engineering Technische Universität Berlin Berlin Germany)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Tim Terstegen, Paul Georg Tiede, Eckhard Flöter. The Effect of Residual Protein and Fiber on Pea Starch Gels. Starch - Stärke 2026-10-01. DOI: 10.1002/star.70307. 原著ライセンス:CC BY.