著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Jurnal Gastrohepatologi Anak Indonesia/Archives of Pediatric Gastroenterology, Hepatology, and Nutrition

ライセンス: CC BY-NC 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

便秘は世界の子どもの0.7〜29.6%にみられるとされ、決して珍しい症状ではありません。原因が特定できない「機能性便秘」は、炭水化物・たんぱく質・脂質・食物繊維・水分といった食事内容と関連することが知られており、子どもの成長や心理社会的な機能にも影響しうると考えられています。では実際に機能性便秘のある子どもたちは、日々どのような栄養をとっているのでしょうか。この疑問に取り組んだのが、インドネシア・ジャカルタのハラパンキタ母子病院で行われた今回の研究です。

どのように調べたのか

研究チームは、同病院の消化器・肝臓内科外来を受診した機能性便秘の子ども31人を対象に、2025年11月から12月にかけて記述的な調査を行いました。年齢、性別、栄養状態に加えて、炭水化物・たんぱく質・脂質・食物繊維・水分の摂取量を評価しています。食物繊維の摂取目安については「年齢+5(グラム)」という簡易的な計算方法が用いられました。

わかったこと

対象となった31人のうち、女児が58.1%を占め、年齢では1〜3歳が45.2%と最も多くを占めました。栄養状態については61.3%が「正常」の範囲にあり、体格そのものに大きな偏りがあったわけではないようです。

一方で、食事の中身を見ると摂取不足の傾向が目立ちました。エネルギー摂取量が推奨量を下回っていた子どもは90.3%にのぼり、炭水化物についても目標量を満たしていたのは32.3%にとどまりました。食物繊維は「年齢+5」の目安を下回る子どもが大多数を占め、水分摂取も90.3%が推奨レベルに届いていなかったと報告されています。他方、脂質については58.1%が適正な摂取量を満たしており、たんぱく質の摂取不足がみられたのは12.9%にとどまるなど、栄養素によって充足の度合いに差が見られた点も特徴です。

この研究の位置づけと読むうえでの注意

この調査は、あくまで一つの病院の外来を受診した31人という限られた人数を対象にした記述的研究であり、便秘の原因を特定したり、特定の栄養素の摂取不足が便秘を引き起こすと証明したりするものではありません。栄養状態が「正常」であった子どもが半数以上を占めていた一方でエネルギーや水分の摂取が推奨量を下回る子どもが多かったという点は、見た目の体格だけでは食事内容の偏りが見えにくいことを示す事実として捉えることができます。著者らは、こうした結果を踏まえて、便秘の予防や管理を支えるうえで適切な栄養に関する啓発を強化する必要性を指摘しています。

まとめ

ジャカルタの三次医療病院で行われたこの調査では、機能性便秘のある子どもたちの多くが、体格上は正常範囲にありながらも、エネルギー・炭水化物・食物繊維・水分の摂取が推奨量を下回っていたことが示されました。便秘と食事の関係を考えるうえで、こうした具体的な摂取実態の記録は一つの手がかりになりますが、今回の結果だけで因果関係や改善効果を結論づけることはできず、今後さらに規模の大きな研究による検証が期待されます。

著者:Cindy Febrina(Department of Nutrition, Faculty of Medicine, Universitas Indonesia, Jakarta, Indonesia)、Gendis Sekarnegari Putri(Department of Nutrition, Faculty of Medicine, Universitas Indonesia, Jakarta, Indonesia)、Kitra Latuasan(Department of Nutrition, Faculty of Medicine, Universitas Indonesia, Jakarta, Indonesia)、Adrian Himawan Singgih(Department of Pediatrics, Harapan Kita Mother and Child Hospital, Jakarta, Indonesia)、Diana Sunardi(Department of Nutrition, Faculty of Medicine, Universitas Indonesia, Jakarta, Indonesia, Division of Clinical Nutrition, Cipto Mangunkusumo Hospital, Jakarta, Indonesia)、Ariani Dewi Widodo(Department of Pediatrics, Harapan Kita Mother and Child Hospital, Jakarta, Indonesia)

※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。出典(原著論文):Cindy Febrina, Gendis Sekarnegari Putri, Kitra Latuasan, et al. Nutritional Intake in Children with Functional Constipation in a Tertiary Care Hospital in Jakarta, Indonesia. インドネシア小児消化器肝臓病学雑誌/小児消化器・肝臓・栄養学アーカイブ (2026). DOI: 10.58427/apghn.5.3.2026.121-130. 原著ライセンス: cc-by-nc.