この研究は、韓国の研究機関の研究論文です。
掲載誌:Nutrients
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の背景と目的
世界的に人口の高齢化が進むなか、高齢者の健康課題として「フレイル」が注目されています。フレイルとは、加齢に伴って心身の予備力が低下し、虚弱な状態に近づいていることを指す概念です。
一方、食品を加工の程度によって分類したときにもっとも加工度が高い区分にあたる「超加工食品(UPF)」の摂取は、これまでさまざまな健康上の悪影響と関連づけられてきました。しかし研究チームによれば、韓国の高齢者においてUPFの摂取とフレイルの関係を示す根拠はまだ限られていました。そこで本研究は、1日の総エネルギー摂取量のうちUPF由来のエネルギーが占める割合と、フレイルとの関連を調べることを目的としています。研究チームはこれを、ある一時点の状況を横断的に捉える調査として実施したと述べています。
調べ方
著者らが分析したのは、韓国国民健康栄養調査のうち、フレイルの評価に必要な項目が得られる2014〜2019年、2022年、2024年の調査に参加した65歳以上の成人9861人のデータです。
食事の内容は24時間思い出し法、すなわち前日1日に食べたものを聞き取る方法で把握され、食品は加工の程度にもとづくNOVA分類にしたがってUPFかどうかが分けられました。フレイルの判定には、握力低下や活動量の低下などの複数の項目から評価するFriedのフレイル表現型を一部修正した基準が用いられています。そのうえで、調査の重みづけを反映した多変量ロジスティック回帰によりUPFのエネルギー寄与率とフレイルの関連が検討され、さらに制限付き三次スプラインという手法で、摂取量の大小に応じた関係の形(用量反応関係)が評価されました。
報告された主な結果
論文によれば、各種の要因を調整した最終的なモデルにおいて、UPFのエネルギー寄与率がもっとも高い四分位群の参加者は、もっとも低い群と比べてフレイルに該当するオッズが31%高いという結果でした(オッズ比1.31、95%信頼区間1.08〜1.59、傾向性のp=0.002)。
フレイルを構成する個々の項目のうちでは、もっとも高い四分位群で身体活動量が低い状態のオッズも高くなっていました(オッズ比1.31、95%信頼区間1.13〜1.51、傾向性のp=0.001)。また制限付き三次スプラインによる解析では、UPFのエネルギー寄与率とフレイルの間に非線形の関連があるという証拠は認められませんでした(非線形性のp=0.8)。
著者らは結論として、韓国の高齢者においてUPFの摂取が多いことはフレイルと正の関連を示し、とくに身体活動量の低さとの関連が目立ったとしています。
この報告が示すこと
この研究は一時点の関連を調べた横断研究であり、UPFの摂取がフレイルを引き起こすという因果関係を示したものではありません。著者らが報告しているのは、両者が統計的に結びついて観察されたという事実です。
そのうえで著者らは、UPFの摂取水準が比較的低い高齢集団においても、UPFの摂取がフレイルと関わりを持つことが示された点に意味があると述べています。加工度の高い食品が食事に占める割合という視点が、高齢期の健康状態を考えるうえで注目に値することを示す報告といえます。
著者:Hyewon Lee(Department of Food and Nutrition, Yeungnam University, 280 Daehak-ro, Gyeongsan 38541, Republic of Korea)、Kyong Park(Department of Food and Nutrition, Yeungnam University, 280 Daehak-ro, Gyeongsan 38541, Republic of Korea)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Hyewon Lee, Kyong Park. Association Between Ultra-Processed Food Consumption and Frailty in Korean Older Adults. Nutrients 2026-09-23. DOI: 10.3390/nu18193135. 原著ライセンス:CC BY.