著者の所属・活動拠点の国は、中国です。

掲載誌:Nutrients

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

年齢を重ねると、体力や気力が落ちて心身が弱りやすくなります。この状態は「フレイル」と呼ばれ、障害、転倒、入院、死亡のリスクの高さと関係しています。フレイルは変化しうる状態で、元に戻る可能性もあるとされます。そのため、薬に頼らない早い段階での対策が重要と考えられています。

生活習慣のうち、食事はフレイルと関係する要因として研究されてきました。一方、毎日いつ活動していつ休むかという「活動・休息リズム」の乱れも、フレイルとの関連が報告されています。ただし、これまでの研究の多くはリズムの指標を一つずつ調べていました。一人の人の中で複数のリズムの特徴がどう組み合わさっているかは、まだよく分かっていませんでした。また、全体的な食事の質と、客観的に測ったリズムのタイプが、フレイルとどう一緒に関係するかも不明でした。

研究チームは中国の農村部に住む高齢者を対象に、三つの課題に取り組みました。活動・休息リズムのタイプを見つけ出すこと、リズムのタイプと食事の質がそれぞれフレイルとどう関係するかを調べること、そして両者の組み合わせとフレイルの関係を調べることです。

どのように調べたか

研究チームは、中国山東省の農村部で進められている健康的な加齢に関する調査の初回データを用いました。分析対象は65〜85歳の1203人です。研究は、ある一時点のデータを分析する横断研究です。

活動・休息リズムは、利き手でない側の手首に加速度計を7日間昼夜続けて着けてもらい測定しました。測定値から三つの指標を算出しました。一つ目は、毎日の活動パターンが日ごとにどれだけ安定しているかです。二つ目は、一日の中で活動と休息がどれだけ細切れに入れ替わるかです。三つ目は、最も活発な時間帯と最も静かな時間帯の差の大きさです。これらの組み合わせから、統計的な手法で参加者をいくつかのリズムのタイプに分けました。

食事は、過去1年間に何をどのくらい食べたかを尋ねる質問票で調べました。食事の質は、中国の食事指針への沿い方を0〜100点で表す指標で評価し、点数が高いほど質が良いことを示します。フレイルは、疲れやすさ、握力の弱さ、歩く速さの遅さ、身体活動の少なさ、意図しない体重減少の5項目で0〜5点に評価しました。分析では、年齢、性別、教育歴、独居の有無、BMI、喫煙、持病の数、摂取エネルギー量、睡眠時間と睡眠効率などの影響を考慮しています。

主な結果

参加者のうち42.5%がフレイルの手前の状態、2.8%がフレイルと判定されました。

活動・休息リズムは五つのタイプに分かれました。最も多かったのは、指標が全体の平均に近い「典型的リズム型」で51.0%でした。次いで、日ごとに規則正しく、細切れが少なく、活動と休息のめりはりがはっきりした「頑健リズム型」が19.7%でした。細切れで、めりはりが弱い「断片化・低振幅型」は18.8%、主に日ごとの規則性だけが低い「日間不安定型」は5.4%でした。三つの指標すべてが最も悪い「重度乱れ型」は5.1%でした。

頑健リズム型と比べると、重度乱れ型ではフレイル得点が0.516点高く、フレイルがより重い段階にあるオッズ(起こりやすさの比)は約2.5倍でした。断片化・低振幅型でもフレイルの重さのオッズが約1.5倍高い関連がみられました。日間不安定型と典型的リズム型では、はっきりした関連はみられませんでした。

食事の質については、点数が10点高いごとにフレイル得点が0.127点低く、より重い段階にあるオッズが29.3%低いという関連が報告されました。

リズムのタイプと食事の質を組み合わせた分析では、頑健リズム型かつ食事の質が高いグループを基準にしました。重度乱れ型は、食事の質が高くても低くてもフレイルの強さと関連していました。また、典型的リズム型や断片化・低振幅型でも、食事の質が低いグループではフレイルの強さとの関連がみられました。フレイル得点が最も高かったのは、重度乱れ型かつ食事の質が低いグループでした。ただし著者らは、食事の質がリズムとフレイルの関係を変えるという相互作用の証拠は得られなかったとしています。また、複数の比較を補正すると一部の関連は統計的に有意でなくなったことも報告しています。性別や年齢層による違いについても、全体として明確な証拠はありませんでした。

この研究が示すこと

著者らは、食事の質が高いことと、規則正しくめりはりのある活動・休息リズムが、それぞれ独立してフレイルの少なさと関連していたと結論づけています。リズムについては、一つの指標だけでなく、複数の乱れが重なった状態が強く関係していた点が特徴です。

この研究は一時点の観察に基づくため、食事やリズムがフレイルを引き起こすのか、逆にフレイルが生活に影響しているのかは区別できません。対象も一つの省の農村部に限られ、フレイルと判定された人は34人と少数でした。それでも著者らは、食事とリズムという日々の生活の二つの側面を合わせて見ることで、高齢者のフレイルに関わる行動をより広い視点から捉えられる可能性があると述べています。

原著論文の著者・所属:Litao Du(School of Physical Education, Shandong University, Jinan 250061, China)、Lina Wang(Shandong Le Yue Dong Health Management Co., Ltd., Jinan 250101, China)、Ke Chen(School of Nursing and Rehabilitation, Shandong University, Jinan 250012, China)、Qiang He(School of Physical Education, Shandong University, Jinan 250061, China)、Yang Pan(Department of Physical Education, Tianjin Medical University, Tianjin 300070, China)、Xianliang Zhang(School of Physical Education, Shandong University, Jinan 250061, China)、Si Chen(School of Nursing and Rehabilitation, Shandong University, Jinan 250012, China)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Litao Du, Lina Wang, Ke Chen, et al. Independent and Joint Associations of Diet Quality and Rest–Activity Rhythm Phenotypes with Frailty Among Rural Older Adults. Nutrients 2026-10-23. DOI: 10.3390/nu18213489. 原著ライセンス:CC BY.