「捨てられがちな葉」や「あまり知られていない豆」が、実は栄養価に優れた食材だったという話を耳にすることがあります。今回紹介するのは、モリンガ(ワサビノキ)の葉粉末、バンバラマメ(アフリカ原産の豆類)、そして黄トウモロコシという3つの植物性素材を組み合わせた「混合粉(コンポジット・フラワー)」に関する研究です。それぞれ単体では聞き馴染みのない食材かもしれませんが、これらを配合することでどのような栄養的・機能的特徴が生まれるのかを調べた論文が、インターナショナル・ジャーナル・オブ・フード・サイエンス・アンド・テクノロジー誌に2026年07月に掲載予定です。
近年、食品分野では単一の穀物だけに頼らず、複数の植物素材を組み合わせることで栄養バランスを高めたり、新しい機能性を付与したりする「複合粉」への関心が高まっています。今回の研究では、モリンガ葉粉末(8.07〜11.24%)、バンバラマメ(23%)、黄トウモロコシ(45〜61%)という配合比率の異なる複数の混合粉を作り、その栄養成分や機能性成分、抗酸化作用、さらには糖の消化に関わる酵素への影響を評価しています。
研究でわかったこと
まず栄養成分については、混合粉ではタンパク質(16.23〜17.57%)、食物繊維(2.70〜3.24%)、灰分(ミネラル分の指標、2.92〜3.77%)が高まっていたと報告されています。また、糊化特性(水を加えて加熱した際にどのようにとろみがつくか)についても評価され、ペーストの安定性が向上し、老化(保存中に食感が変化する現象)が抑えられる傾向が見られたとされており、これは再調理用食品や加工食品への応用に適した特性だと説明されています。
次に、健康に関わる可能性がある「機能性成分(バイオアクティブ化合物)」についても、混合粉で明らかに増加していたことが示されています。具体的には、総フェノール類(2.67〜2.77 mg GAE/g)、フラボノイド(1.15〜1.28 mg QE/g)、タンニン(4.93〜5.96 mg/g)といった、植物に多く含まれる成分の量が増えていたとのことです。
さらに、DPPH・ABTS・FRAPという3種類の異なる方法で抗酸化活性(体内の酸化ストレスに関わるとされる指標)を測定したところ、いずれの方法でも活性の向上が確認されたと報告されています。加えて、糖質の分解に関わる酵素であるα-アミラーゼおよびα-グルコシダーゼに対する阻害作用も見られたとされ、これは食後の血糖上昇に関連する可能性がある指標として研究では注目されています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究は、あくまで混合粉そのものの成分分析や、試験管内(in vitro)での酵素阻害・抗酸化活性の測定に基づくものです。要旨からは、実際にヒトが食べた場合に血糖値や酸化ストレスにどのような影響があるかまでは示されておらず、動物実験やヒトを対象とした臨床試験の結果は述べられていません。そのため、この混合粉を食べることで健康効果が得られると断定できるものではなく、あくまで「機能性食品素材としての可能性が示唆された」という位置づけの研究だと理解するのが適切です。一つの研究であり、結論が確定したわけではない点にも留意が必要です。
まとめ
モリンガ葉粉末・バンバラマメ・黄トウモロコシを組み合わせた混合粉は、タンパク質や食物繊維などの栄養成分に加え、フェノール類やフラボノイドといった機能性成分が豊富であり、抗酸化活性や糖質分解酵素への阻害作用も向上していたことが、この研究では報告されています。研究チームは、こうした特性から、この混合粉が酸化ストレスや食後の血糖管理に役立つ可能性のある機能性食品素材となりうると位置づけています。今後、さらなる研究の蓄積が期待される分野だと言えそうです。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:モリンガ・バンバラマメ・黄トウモロコシ混合粉の機能性・栄養機能特性評価(インターナショナル・ジャーナル・オブ・フード・サイエンス・アンド・テクノロジー・2026年07月)