大根の皮や葉、じゃがいもやにんじんの皮、キャベツの芯。これらは家庭の調理で当たり前のように捨てられている部分だが、実は食べられる部分であることも多い。日本国内では、家庭から出る食品ロスのうち、こうした「過剰除去」、つまり本来食べられる部分まで取り除いて捨ててしまうことの割合が高いことが課題として指摘されている。今回紹介する研究は、この過剰除去に着目し、野菜などの廃棄されがちな部位を活用したレシピを考案したうえで、栄養価や食材料費、廃棄量にどのような変化が生じるかを調べたものである。

どのように調べたのか

研究では、家庭でよく作られる野菜料理について、まず一般的なレシピを作成した。そのうえで、通常は取り除いて捨ててしまう皮・芯・葉などの部位を活用する形にレシピを展開し、廃棄部位を使う前と後とで、栄養価・廃棄量・食材料費を算出して比較するという方法がとられた。対象となったのは8品のレシピである。

廃棄部位を活用すると何が変わったのか

比較の結果、廃棄部位を活用した後のレシピでは、レチノール活性当量(体内でビタミンAとして働く量の指標)や、ビタミンB₂、ビタミンB₁₂といったビタミン類、カリウムなどの無機質が増加する傾向が認められたと報告されている。とりわけ、大根の葉や皮、じゃがいもやにんじんの皮、キャベツの芯を使ったレシピでは栄養価の向上がみられ、これらの部位を活用することの有効性が示唆されたという。

また、皮や芯、葉を捨てずに使うことで、当然ながら廃棄される量そのものも減っており、資源を無駄なく使うという観点からも意味があると考察されている。食材料費については、1品あたり平均で6.8円の削減が確認され、比較した8品すべてのレシピで費用が抑えられる結果になったとされている。

この研究をどう読むか

この研究では、野菜の廃棄部位にビタミン類やミネラルが比較的多く含まれるとする従来の報告を、実際のレシピという形で確かめた点に特徴がある。ただし、今回明らかになったのは8品のレシピを対象にした栄養価・廃棄量・費用の比較であり、味や食感、調理の手間、また廃棄部位に含まれる食物繊維や抗酸化成分そのものの詳細な分析までは行われていない。論文中でも、廃棄部位に含まれる栄養素や抗酸化物質についてはさらに詳しい分析を進める必要があるとされている。特定の食べ方や成分の摂取によって健康効果が得られると断定するものではなく、あくまで一つの研究として結果を捉える必要がある。

まとめ

野菜の皮や芯、葉といった、これまで当たり前のように捨てられてきた部分を活用することで、栄養価の向上、廃棄量の削減、食材料費の抑制という複数の効果が同時に得られる可能性があることが、8品のレシピの比較を通じて示された。日々の食卓での小さな工夫が、食品ロス削減という大きな課題にもつながりうることを示す研究といえる。

※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。参考文献:Ayaka Sannomiya, Naoko Yamada, Yoko Miyazawa. 調理中における廃棄部位を削減したレシピの開発. 日本調理科学会大会研究発表要旨集 (2026). DOI: 10.11402/ajscs.37.0_183.