梅干しを一粒、口に入れると、酸っぱさと塩辛さが同時に押し寄せます。この二つの味は、まったく別の成分が担っています。酸っぱさはクエン酸などの有機酸、塩辛さは食塩相当量で表される塩。つまり「酸っぱいから塩分も高いはず」という感覚は、味の印象がたまたま重なっているだけで、別々の話なのです。
それが数字ではっきり分かるのがうめ 梅干し 塩漬です(成分値はいずれも可食部100gあたり)。クエン酸3.4g・リンゴ酸0.9gという有機酸が酸味をつくり、食塩相当量18.2gが塩味をつくっています。有機酸の合計は4.3g。同じ食品のなかに、酸っぱさの成分と塩辛さの成分が、別々の数値として並んでいます。
このうち塩のほうは、梅がもともと持っていたものではありません。うめ 生の食塩相当量は0g。漬け込むという工程で後から加わったことが、数字からそのまま読み取れます。
同じ「梅干し」でも、塩の量は2倍以上違う
店頭で梅干しと呼ばれるものには、塩だけで漬けたものと、調味液に漬けたものがあります。うめ 梅干し 調味漬の食塩相当量は7.6gで、塩漬の18.2gの半分以下です。かわりにエネルギーは90kcalと、塩漬の29kcalより高くなります。炭水化物が8.6gから21.1gへ増えるためで、「塩が控えめなぶん、別のものが入っている」という関係になっています。
梅干しは中粒1個がおよそ10gなので、100gは10粒ぶんにあたります。1粒に置き換えると、食塩相当量は塩漬で約1.8g、調味漬で約0.8gです。
一粒が、1日の塩の目標量に占める割合
食塩相当量の目標量(成人30〜49歳)は男性7.5g未満・女性6.5g未満とされています。塩漬の梅干しなら1粒で1.8g、つまり1日の目標量の4分の1ほどにあたります。調味漬でも約0.8gで、1割強を占めます。ご飯のお供として1粒、という食べ方でも、他のおかずの塩気と合わせて考えたい量です。
カリウムには余分なナトリウムの排泄を助ける働きがあるとされます。梅干し 塩漬のカリウムは220mg、うめ 生は240mg、調味漬は130mg。カリウムの目安量(成人30〜49歳)は男性2500mg・女性2000mgですから、梅干しだけで補える量ではありません。野菜や果物を組み合わせるのが現実的です。
梅干しの酸っぱさに気を取られていると、塩分の存在は見過ごされがちです。けれども成分表を開けば、酸味はクエン酸3.4g、塩味は食塩相当量18.2gと、別々の行に別々の数値として載っています。次に梅干しを手に取るときは、その二つが別の成分だと思い出してみてください。
※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。
栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準・e-ヘルスネット「ナトリウム」(厚生労働省)