この研究は、ポーランドの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Foods
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
アイソトニック飲料への関心が高まるなか、合成添加物の使用を抑えつつ、生理活性成分としての価値と味わいの魅力を高められる、天然素材を基にした配合の開発が求められています。研究チームは、天然の果汁を用いたアイソトニック飲料の新しい配合を作り出し、その物理化学的な性質と官能的な受容性(味や香りなどの好ましさ)を評価することを目的として、この研究を行ったと報告しています。
アイソトニック飲料とは、体液に近い浸透圧に調整された飲み物のことです。浸透圧は「mOsm/kg」という単位で表され、この値が体液に近いほど水分や電解質が体に取り込まれやすいとされています。
調べた方法
著者らは、果汁を10〜15%(体積比)含み、食塩(100mLあたり0.13g)と有機糖を加えた配合を複数用意しました。その際、浸透圧が270〜330 mOsm/kgの範囲に収まるよう調整したとしています。
そのなかから魅力的と判断された10種類を選び、QDA(定量的記述分析)と呼ばれる手法による官能評価を行いました。あわせて物理化学的な分析として、総ポリフェノール量の測定、DPPHという試薬を用いた活性酸素(フリーラジカル)を消去する能力の測定、そしてCIE Lab系による色の測定を実施したと述べています。ポリフェノールは果物などに含まれる成分で、抗酸化作用を持つことが知られています。
主な結果
官能評価では、分析したすべての飲料が肯定的な評価を受け、平均的な受容性の点数は6.9から8.1の範囲であったと報告されています。
物理化学的な分析では、これらの飲料が相当の抗酸化活性を示しました。総ポリフェノール量は100mLあたり46mgから170mg近く(没食子酸相当量、GAE)の範囲にあり、DPPHによるフリーラジカル消去能は45%から90%近くまでの範囲にあったとしています。
この研究が示すこと
著者らは、果汁を用いることで、効果的に水分を補給できるだけでなく、価値ある抗酸化成分も含んだアイソトニック飲料を作ることが可能になる、と結論づけています。天然素材を活かした配合設計が、飲料の成分面と味わいの両方で成り立ちうることを示した報告といえます。
著者:Aleksandra Wilczyńska(Department of Quality Management, Faculty of Management and Quality Sc, Gdynia Maritime University, 81-225 Gdynia, Poland)、Agnieszka Rybowska(Department of Quality Management, Faculty of Management and Quality Sc, Gdynia Maritime University, 81-225 Gdynia, Poland)、Joanna Newerli-Guz(Department of Quality Management, Faculty of Management and Quality Sc, Gdynia Maritime University, 81-225 Gdynia, Poland)、Agnieszka Palka(Department of Quality Management, Faculty of Management and Quality Sc, Gdynia Maritime University, 81-225 Gdynia, Poland)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Aleksandra Wilczyńska, Agnieszka Rybowska, Joanna Newerli-Guz, et al. Fruit Juices as a Valuable Ingredient in Isotonic Drinks. Foods 2026-08-25. DOI: 10.3390/foods15172988. 原著ライセンス:CC BY.