著者の所属・活動拠点の国は、イタリアです。
掲載誌:ACS Agricultural Science & Technology
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
化学的に製造された無機肥料(化学肥料)の使いすぎは、環境面と経済面の双方で大きな問題とされ、養分を持続的に管理する方法が求められています。研究チームは、肥料を減らしても作物の生産性を保てる手段として、固形の嫌気性消化残渣から作られた資材(論文では「バイオプロダクト」と呼ばれています)に注目しました。嫌気性消化残渣とは、有機物を酸素のない条件で微生物に分解させた後に残るものです。
著者らが調べたのは、この資材が「バイオスティミュラント」として働くかどうかです。バイオスティミュラントとは、植物の生育や養分の利用を助ける働きを持つ資材を指します。
何を調べたか
研究チームは、温室でのトマト栽培で2回の栽培サイクルにわたり試験を行いました。資材を土壌に施用し、標準的な量の化学肥料(100%)、またはそれを40%減らした量(60%)と組み合わせて、収量や植物体の成分などを比較しました。
主な結果
論文の報告によると、化学肥料を40%減らすと、出荷できる品質の果実の収量(可販収量)が減少しました。しかし、資材を60%の化学肥料と組み合わせると、この減少が補われ、2回の栽培サイクルのいずれでも対照と同程度の収量が得られました。
一方、化学肥料を減らした条件では、植物の色素の含有量が低下しました。ただし、資材を施用した植物では、タンパク質の蓄積が多く、窒素を体内に取り込んで利用する過程(窒素同化)に関わる酵素の活性も高まっていました。著者らは、この結果から窒素を利用する効率が高まった可能性があると述べています。
研究が示すこと
著者らは全体として、この資材が植物のバイオスティミュラントとして有効に働き、総収量や果実品質を損なわずに化学肥料の投入量を40%減らすことを可能にしたと結論づけています。消化残渣という副産物から作った資材が、化学肥料に頼りすぎないトマト生産の一つの手がかりになり得ることを示した報告です。
原著論文の著者・所属:Erika Salvagno(Università di Catania , , ,)、Ferdinando Fragalà(Università di Catania , , ,)、Emanuele La Bella(Università di Catania , , ,)、Rossella Saccone(Università di Catania , , ,)、Giuseppe Bonfante(Università di Catania , , ,)、Elio Padoan(University of Turin, IT)、Enzo Montoneri(University of Turin, IT)、Ivana Puglisi(Università di Catania , , ,)、Andrea Baglieri(Università di Catania , , ,)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Erika Salvagno, Ferdinando Fragalà, Emanuele La Bella, et al. Effects of Bioproducts on Tomato Performance across Two Cultivation Cycles under Reduced Mineral Fertilization. ACS Agricultural Science & Technology 2026-11-02. DOI: 10.1021/acsagscitech.6c00479. 原著ライセンス:CC BY.