著者の所属・活動拠点の国は、ベナン、台湾です。

掲載誌:Frontiers in Sustainable Food Systems

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

なぜオクラの施肥を調べたのか

オクラは西アフリカで広く栽培される野菜で、栄養面でも経済面でも重要な作物です。しかし論文によると、ベナンのオクラ収量は1ヘクタールあたり約3.9トンにとどまり、ブルキナファソ、マリ、ガーナ、セネガルなど近隣の西アフリカ諸国を大きく下回っています。研究チームは、その一因として施肥の方法が最適でないことを挙げています。

オクラの生育には窒素、リン、カリウムが欠かせず、これらは主に化学肥料で補われてきました。一方で著者らは、化学肥料の使い過ぎが土壌の酸性化や環境への悪影響につながりうる点を指摘しています。また、ベナンで使われている施肥の推奨は認証品種が登録される前の研究に基づいており、改良品種「Konni」と「AVOK1504」に適しているかは確かめられていませんでした。そこで研究チームは、有機肥料と化学肥料を単独または組み合わせて与えた場合に、2品種の生育・収量と土壌の状態がどう変わるかを調べました。

どのような試験を行ったか

試験はベナン南部アボメ・カラビにある世界野菜センターの試験圃場で、2021年8〜12月(第1作期)と2022年5〜9月(第2作期)の2回行われました。第1作期は比較的暖かく乾いた時期、第2作期は雨が多く涼しい時期にあたります。

比較したのは、世界野菜センターが開発して最近ベナンで普及が始まった新系統AVOK1504と、西・中央アフリカで広く普及している市販品種Konniの2品種です。肥料には、地元で手に入る有機肥料の鶏ふん、化学肥料のNPK(窒素・リン・カリウムを含む複合肥料)、尿素、硫酸カリウム、さらに葉に散布して生育を助ける資材(バイオスティミュラント)である「ABC Grower」を用いました。無施肥を含めて12通りの施肥方法を設け、化学肥料については1ヘクタールあたりNPK100kg・尿素25kg・硫酸カリウム25kgの低用量と、その2倍にあたるNPK200kg・尿素50kg・硫酸カリウム50kgの高用量の2段階を、鶏ふん(1ヘクタールあたり10トン)と組み合わせる場合と組み合わせない場合で比べています。

研究チームは草丈、茎の太さ、枝や葉の数、開花・結実までの日数、果実の収量を記録しました。あわせて試験前と試験後に土壌を採取し、pH(酸性・アルカリ性の度合い)、窒素やリン、カルシウム、マグネシウムなどの養分量、陽イオン交換容量(土が養分を保持する力の目安)、土の粒の構成を分析しました。

主な結果

鶏ふんに化学肥料やABC Growerを組み合わせた処理は、両品種・両作期で収量を統計的に有意に高めたと報告されています。なかでも第2作期に両品種で最も高い収量を示したのは、鶏ふん10トンに高用量の化学肥料(NPK200kg・尿素50kg・硫酸カリウム50kg)を加えた処理と、そこにさらにABC Growerを加えた処理でした。鶏ふんだけを与えた処理も第2作期には良い成績でした。Konniの第2作期の収量は1ヘクタールあたり、鶏ふんのみで最大4.3トン、鶏ふん+高用量の化学肥料で5.3トン、それにABC Growerを加えた処理で5.8トンでした。ただし、鶏ふんのみと鶏ふん+高用量の化学肥料の処理は、ABC Growerまで加えた処理と統計的に同程度の収量だったため、著者らはこの2つを投入資材を節約できる選択肢として挙げています。一方、無施肥やABC Growerのみ、化学肥料のみの一部の処理では収量が低くなりました。

品種による違いも見られました。Konniは草丈が高く茎が太く、開花・結実が早く、収量でもAVOK1504を上回りました。AVOK1504は枝や葉の数が多かったものの、収量ではKonniに及びませんでした。ただしAVOK1504も、第2作期には鶏ふんのみの処理や鶏ふん+低用量の化学肥料の処理で良い成績を示したと報告されています。また、両品種とも雨の多い第2作期の方が生育・収量ともに良好でした。

土壌については、試験前のpHは4.6の酸性でしたが、鶏ふんを含む処理ではpHが上がり、鶏ふんのみの処理では5.75となりました。反対に、化学肥料のみの処理ではpHが下がりました。無施肥以外のすべての処理で全窒素と陽イオン交換容量が改善し、鶏ふんのみの処理ではカルシウムやマグネシウムも増えました。一方で、鶏ふんは炭素を多く含むにもかかわらず、どの処理でも土壌の有機炭素や植物が利用できるリンは増えませんでした。著者らはこの理由として、高温多湿の条件下で有機物の分解が速いことや、砂質の土壌で炭素がたまりにくいことなどを考えられる説明として挙げています。土の粒の構成による区分(土性)はどの処理でも変わりませんでした。

この研究が示すこと

この研究は、ベナン南部の酸性で砂質の土壌では、鶏ふんを基本にした施肥がオクラの収量と土壌の性質の両方に有利に働き、資材を多く足しても必ずしも収量がさらに増えるわけではないことを示しました。また、品種の成績は施肥の方法によっても変わるため、著者らは品種と施肥法をあわせて選ぶ必要があると述べています。なお、結果は1か所での試験に基づくもので、著者らは推奨が主に似た条件の土地に当てはまるとしています。費用対効果の正式な分析も行われていません。

原著論文の著者・所属:Judith Y. F. A. Honfoga(Genetics, Biotechnology and Seed Science Unit (GBioS), Laboratory of Plant Production, Physiology and Plant Breeding (PAGEV), School of Plant Sciences, University of Abomey-Calavi; Unité de Recherche en Physiologie Végétale et Adaptation des Plantes aux Stress Abiotiques (URPV-APSA), Laboratoire des Sciences du Végétal et Pharmacopée (LaSVEP), Faculté des Sciences et Techniques, Université d’Abomey-Calavi; World Vegetable Center, West and Central Africa)、Sognigbé N’Danikou(Ecole d’Horticulture et d’Aménagement des Espaces Verts, Université Nationale d’Agriculture; Genetics, Biotechnology and Seed Science Unit (GBioS), Laboratory of Plant Production, Physiology and Plant Breeding (PAGEV), School of Plant Sciences, University of Abomey-Calavi; World Vegetable Center, East and Southern Africa)、Eric C. Legba(Genetics, Biotechnology and Seed Science Unit (GBioS), Laboratory of Plant Production, Physiology and Plant Breeding (PAGEV), School of Plant Sciences, University of Abomey-Calavi; World Vegetable Center, West and Central Africa)、Armand Agbannoussou(Ecole d’Horticulture et d’Aménagement des Espaces Verts, Université Nationale d’Agriculture, Kétou, Benin)、Jordan S. Houegban(World Vegetable Center, East and Southern Africa)、Morel Avlessi(Ecole Polytechnique d’Abomey-Calavi (EPAC), Université d’Abomey-Calavi, Cotonou, Benin)、Ramasamy Srinivasan(World Vegetable Center, Shanhua)、Lukas Pawera(World Vegetable Center, Shanhua)、Enoch G. Achigan-Dako(Genetics, Biotechnology and Seed Science Unit (GBioS), Laboratory of Plant Production, Physiology and Plant Breeding (PAGEV), School of Plant Sciences, University of Abomey-Calavi)、Christophe Gandonou(Unité de Recherche en Physiologie Végétale et Adaptation des Plantes aux Stress Abiotiques (URPV-APSA), Laboratoire des Sciences du Végétal et Pharmacopée (LaSVEP), Faculté des Sciences et Techniques, Université d’Abomey-Calavi, Cotonou, Benin)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Judith Y. F. A. Honfoga, Sognigbé N’Danikou, Eric C. Legba, et al. Organic and inorganic fertilization differently affect the agronomic performance of two okra (Abelmoschus esculentus L. Moench) varieties and soil fertility. Frontiers in Sustainable Food Systems 2026-09-02. DOI: 10.3389/fsufs.2026.1818681. 原著ライセンス:CC BY.