カシューナッツの木には、ナッツの下に赤や黄色の果実がぶら下がっているのをご存じでしょうか。「カシューアップル」と呼ばれるこの部分は、ナッツに比べて活用が進んでいません。ビタミンや食物繊維、抗酸化物質を含む食材でありながら、多くは収穫の場で見過ごされてきました。

そんなカシューアップルを、品種ごとにきちんと比べてみたらどうなるのか。コロンビアの研究チームがこの問いに取り組みました。

4つの品種を横並びで調べる

研究チームが対象にしたのは、改良クローン2種(Clon MapiriaとClon Agrosavia Caribe)と、在来種2種(Criollo AmarilloとCriollo Rojo)です。同じ栽培条件で育った健全な木から、収穫適期の果実を集めて品種ごとの代表サンプルを作りました。

そのうえで、理化学的な性質や栄養成分、機能性成分、さらに味や香りの官能評価まで、幅広い角度から比較しています。分析は3回ずつ繰り返して行われました。消費者による受容性評価には、9段階の評価尺度が用いられています。

品種によってかなりの違いが見られた

結果として、4品種の間には理化学的にも栄養的にも、はっきりとした違いが見られました。

糖度の指標となる可溶性固形分は7.90〜11.47°Brixの範囲でした。総フェノール含量は282.95〜370.89 mg GAE/100g、抗酸化能は370.55〜390.60 mg TE/100gという幅で品種ごとに異なっていました。

個々の品種の特徴も見えてきました。Clon Mapiriaは可溶性固形分と抗酸化能がもっとも高く、Criollo Amarilloは総フェノールと縮合タンニンの含量で最高値を示したといいます。Clon Agrosavia Caribeはフラボノイド濃度が最も高く、香りや味のバランスも良好と評価されました。一方、Criollo Rojoは色の見た目に対する評価が最も高かったと報告されています。

栄養面では、改良クローン2種がタンパク質・食物繊維・灰分(ミネラル分の指標)で高い値を示す傾向がありました。対して在来種2種は炭水化物含量が高いという、対照的な結果でした。

この研究の位置づけと読むときの注意

これらの結果から、4つの品種はそれぞれ異なる強みを持つことが分かります。研究チームは、栄養重視・機能性重視・食味重視など、用途に応じて使い分けられる可能性があると位置づけています。

ただし、この研究は特定の栽培条件下で採取したサンプルを、分析上3回繰り返して測定したものです。論文の著者ら自身も、品種間の違いを確かなものとして裏付けるには、独立した生物学的な繰り返し試験を伴う今後の研究が必要だと述べています。1つの研究で得られた比較結果であり、結論が確定したわけではない点には留意が必要です。

まとめ

今回の研究では、コロンビア産カシューアップル4品種の間に、糖度や抗酸化能、栄養成分、食味の面でそれぞれ異なる特徴があることが明らかになりました。改良クローンは栄養成分に優れ、在来種は炭水化物に富むという傾向も示されています。廃棄されがちなこの果実を、機能性食品などへ活用する道を探るうえで、品種選びの手がかりとなる比較データといえます。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:改良クローンと在来品種由来のカシューアップル(Anacardium occidentale L.)の栄養組成、機能活性、官能特性の比較評価(フロンティアーズ・イン・フード・サイエンス・アンド・テクノロジー・2026年08月)