著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Greenation International Journal of Tourism and Management

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

デジタルを使った観光体験は、再訪意向とどう結びつくか

研究チームは、バリ島キンタマーニの食を目的とする観光で、デジタル技術を活用した体験が、観光客の満足度や「また訪れたい」という意向とどう結びつくかを調べました。特に注目したのは、デジタル体験と再訪意向の間を、満足度が橋渡ししているかという点です。

論文が扱う「スマートツーリズム」とは、地図アプリ、オンラインの口コミ、SNSなどを観光に役立てることです。キンタマーニでは、大規模な専用インフラよりも、観光客自身によるこうしたツールの利用が中心になっていると著者らは説明しています。

観光客150人の回答から関係を分析

研究チームは、キンタマーニの飲食施設などを訪れている、または訪れた経験がある17歳以上の観光客150人を調査しました。対象者は全員、目的地の情報を探すために、地図アプリやSNS、旅行アプリなどを少なくとも一つ利用していました。

質問では、情報へのアクセスやアプリの使いやすさ、口コミ、旅行計画への支援などについて、5段階で評価してもらいました。あわせて、食観光全体への満足度や、再び訪れたいという意向なども尋ねました。著者らはこれらの回答を用い、デジタル体験、満足度、再訪意向の関係を、満足度を経由するつながりも含めて統計モデルで分析しました。

再訪意向とのつながりは、満足度を介する経路が大きい

著者らは、スマートツーリズムへの評価が高いほど、満足度と再訪意向も高いという、統計的に有意な関係を報告しました。分析した関係のうち最も強かったのは、満足度と再訪意向のつながりでした。

関係の強さを示すモデル上の係数は、スマートツーリズムから再訪意向への直接の経路が0.161だったのに対し、満足度を経由する間接の経路は0.303と、ほぼ2倍でした。直接の経路も有意だったため、著者らは、満足度が両者の関係の一部を橋渡しする「部分媒介」が認められたとしています。

ただし、調査は一時点での回答に基づくため、因果関係を確定するものではありません。また、測定したのは実際の再訪ではなく、再訪したいという意向です。研究が伝えるのは、キンタマーニの食観光では、デジタル技術の利用そのものだけでなく、それが満足できる観光体験と結びついていることが、再び訪れたいという気持ちを理解するうえで重要だということです。

原著論文の著者・所属:Ida Ayu Kade Werdika Damayanti(Politeknik Negeri Bali, Badung, Bali, Indonesia)、Luh Linna Sagitarini(Politeknik Negeri Bali, Badung, Bali, Indonesia)、Made Suardani(Politeknik Negeri Bali, Badung, Bali, Indonesia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ida Ayu Kade Werdika Damayanti, Luh Linna Sagitarini, Made Suardani. From Smart Experiences to Tourist Loyalty: The Mediating Role of Satisfaction in Kintamani Culinary Tourism. Greenation International Journal of Tourism and Management 2026-09-17. DOI: 10.38035/gijtm.v4i3.1355. 原著ライセンス:CC BY.