著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Jurnal SAGO Gizi dan Kesehatan

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

なぜ販売者の行動に注目したのか

汚染された食べ物は、細菌などの生物的な危険、化学物質、異物によって食中毒などの病気を引き起こします。学校の周りで売られる軽食は子どもたちが日常的に買うものですが、衛生面の質は必ずしも保証されていません。研究チームは、インドネシア西ジャワ州ブカシ県の保健統計で、2023年に下痢が2万111件、食中毒が32件記録されていたことを紹介し、子どもは安全でない食品の影響を受けやすい集団の一つだと述べています。

対象地域のパシル・ゴンボン村は、学校周辺に多くの軽食販売者がいる地域です。これまでの調査では、手袋を使わない、食べ物を覆わずに置く、清潔とはいえない水を使うといった不十分な扱い方が見つかっていました。また別の研究では、軽食から有害な食品添加物や大腸菌が検出されています。一方で、販売者の行動の背景にある要因を調べた研究は、この地域ではまだ限られていました。そこで著者らは、販売者の知識、態度、個人の特性が食品安全の実践とどう関連するかを分析し、最も強く関わる要因を明らかにしようとしました。

どのように調べたのか

調査は、ある一時点の状況を調べる横断研究として行われました。2025年6月、同村で学校向けの軽食を売る50人に、妥当性と信頼性を確認済みの質問票を使って構造化面接を行いました。対象者は、調査時に会えた人から選ぶ方法で集められています。対象の条件は、準備から販売まで自分で調理に関わり、その地域で6か月以上商売をしていることでした。

研究チームは、食品安全に関する知識、態度、実践をそれぞれ得点化しました。そのうえで、知識は「良い/悪い」、態度は「肯定的/否定的」、実践は「良い/不十分」に分けました。性別、年齢、収入、販売年数といった特性も含めて、実践との関連を統計的に分析しています。さらに、複数の要因を同時に考慮できる多変量ロジスティック回帰という手法を使い、ほかの要因の影響を調整したあとも関連が残るかを確かめました。

主な結果

回答者の90%は、食品安全の研修を一度も受けたことがありませんでした。それでも、82%が良い知識、86%が肯定的な態度、90%が良い実践の区分に入りました。ただし著者らは、実践が良好と判定された割合が高い点について注意を促しています。実践の測定には、回答の偏りや、観察されていると意識したことによる一時的な行動の変化が影響した可能性があるためです。

知識が良い区分の41人のうち40人(97.6%)は、実践も良好でした。知識が悪い区分では、9人のうち5人にとどまりました。態度についても、肯定的な43人のうち41人(95.3%)が良い実践をしていたのに対し、否定的な7人では4人でした。一方、性別、年齢、収入、販売年数には、実践との統計的に意味のある関連は見られませんでした。

ほかの要因を調整した分析でも、知識と態度は実践と有意に関連していました。良い実践をしている人としていない人の比を「オッズ」と呼びます。知識が良い販売者のオッズは、知識が悪い販売者の28.15倍でした。態度が肯定的な販売者のオッズは、否定的な販売者の12.86倍でした。この大きさから、著者らは知識を最も主要な要因と位置づけています。

この研究が示すこと

この研究は、学校の軽食を扱う販売者の間で、食品安全についてよく知り、前向きな態度を持つことが、実際の扱い方の良さと結びついていることを示しました。ただし、一時点の調査なので、知識や態度が実践を良くするという因果関係までは確かめられていません。著者らは、対象者が少なく選び方にも偏りがありうること、論文中にオッズ比の信頼区間が示されておらず推定の精度を十分に評価できないことも、限界として挙げています。

こうした結果をふまえて著者らは、食品安全の教育には理論的な講義だけでなく、実演、実地での練習、シミュレーションを組み合わせることを提案しています。あわせて、衛生設備、作業手順、監督体制を整え、知識と前向きな態度が日々の作業で一貫して生かされるようにする必要があると述べています。

原著論文の著者・所属:Utami Putri Kinayungan(Program Studi Sarjana Gizi, Fakultas Ilmu Kesehatan, Universitas Medika Suherman, Jawa Barat)、Widya Lestari Nurpratama(Program Studi Sarjana Gizi, Fakultas Ilmu Kesehatan, Universitas Medika Suherman, Jawa Barat)、Nur Fauzia Asmi(Program Studi Sarjana Gizi, Fakultas Ilmu Kesehatan, Universitas Medika Suherman, Jawa Barat)、Dandi Sanjaya(Program Studi Sarjana Gizi, Fakultas Ilmu Kesehatan, Universitas Medika Suherman, Jawa Barat)、Deni Alamsah(Program Studi Sarjana Gizi, Fakultas Ilmu Kesehatan, Universitas Medika Suherman, Jawa Barat)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Utami Putri Kinayungan, Widya Lestari Nurpratama, Nur Fauzia Asmi, Dandi Sanjaya, Deni Alamsah Hubungan pengetahuan dan sikap dengan praktik keamanan pangan pada penjaja jajanan sekolah di Desa Pasir Gombong, Bekasi. Jurnal SAGO Gizi dan Kesehatan 2026-08-07. DOI: 10.30867/gikes.v7i2.3006. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。