著者の所属・活動拠点の国は、ブラジルです。
掲載誌:Trees
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
根が出にくいマテを、細菌の力で増やせるか
研究チームは、マテ茶の原料となるマテの挿し木に細菌を加えることで、根の形成や苗の初期成長を促せるかを調べました。マテでは、優れた個体の性質を保ったまま増やすために挿し木が役立ちますが、根が出にくく、遺伝的な系統によって成功率が大きく異なることが課題となっています。
そこで著者らが着目したのが、根の周囲にすむ、植物の成長を助ける細菌です。マテの根の近くから細菌を取り出し、短い枝を使う「ミニ挿し木」に加えて、通常は根がない茎から新たに根が生じる不定根形成への影響を比較しました。
細菌を選び、発根しやすさの異なる系統で比較
研究チームは、発根しやすい二つの系統の根の周囲から87株の細菌を分離し、性質の異なる15株を選んで予備試験を行いました。また、発根しやすさの異なる四つの系統について、根の周囲にいる細菌の集まりをDNA解析で調べました。この解析では、細菌群集の多様性や全体的な構成に、系統間で統計的に有意な違いは認められませんでした。
本試験では、発根しやすい6系統を混ぜたグループと、発根しにくい7系統を混ぜたグループを別々に評価しました。予備試験で選んだ細菌など計8株をそれぞれ挿し木の根元付近の培地に加え、細菌を加えない対照と比較しました。温室で120日間育てた後、発根率、根の長さ、根を乾燥させた重さなどを測定しました。
効果は細菌と植物の組み合わせで変わる
発根しやすいグループでは、Neobacillus属のERR 1227株を加えた区で発根率が85.0%となり、試験した処理の中で最高でした。細菌を加えない対照の発根率は60.0%でした。ERR 1227株では根の乾燥重量も最も大きく、27.4ミリグラムとなり、対照より統計的に有意に増加しました。
一方、発根しにくいグループでは、ERR 1227株の発根率は13.3%で、対照の18.3%を上回りませんでした。このグループで最も高い発根率を示したのはCNPF 715株で、35.0%でした。また、CNPF 363株を加えると対照より根が長くなり、多くの細菌株で根の乾燥重量が対照を上回ったと著者らは報告しています。
これらの結果は、細菌を加えれば一律に発根がよくなるのではなく、植物の系統と細菌株の組み合わせによって応答が変わることを示しています。著者らは、選んだ細菌を利用することが、とくに発根しにくいマテの系統で、挿し木からの根の形成や成長を助ける手段になり得ると結論づけています。
原著論文の著者・所属:Krisle da Silva(Embrapa Forestry, Colombo, Brazil)、Regina Caetano Quisen(Embrapa Forestry, Colombo, Brazil)、Taciane Beatriz Ferreira(Pontifical Catholic University of Paraná (PUCPR), Curitiba, Brazil)、Julia Heduarda Giacomel Balbinotti(Department of Plant Production, Federal University of Paraná, Curitiba, Brazil)、Gabriela Yumi Nomi(Department of Biochemistry and Molecular Biology, Federal University of Paraná, Biological Sciences Sector, Polytechnic Center, Curitiba, Brazil)、Ivar Wendling(Embrapa Forestry, Colombo, Brazil)、Juliana Degenhardt-Goldbach(Embrapa Forestry, Colombo, Brazil)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Krisle da Silva, Regina Caetano Quisen, Taciane Beatriz Ferreira, et al. Plant growth-promoting rhizobacteria enhance adventitious rooting of mini-cuttings from Ilex paraguariensis clones. Trees 2026-09-11. DOI: 10.1007/s00468-026-02822-2. 原著ライセンス:CC BY.