この研究は、アルゼンチン、チリ、ボリビアの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Environmental Research Letters
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
超加工食品(UPF)とは、工業的な加工を重ねてつくられた食品を指す分類です。その摂取を減らすことは、人々の健康を改善する方策として広く提案されてきました。しかし研究チームは、健康面だけでなく環境面でも同時に利点が得られるかどうかは、減らしたUPFの代わりに何を食べるかによって左右されると指摘しています。
そこで著者らは、アルゼンチンを対象に、UPFの摂取に関連する死亡と経済的負担を推計し、あわせて政策に結びつけやすい削減シナリオを評価することを目的としました。
何をどのように調べたか
研究チームは、アルゼンチン全国を代表する食事データを用い、比較リスク評価(comparative risk assessment)によるマクロシミュレーションを構築しました。これは、食事の内容が変わった場合に集団全体の死亡や負担がどう変化するかを模型的に試算する手法です。
検討したシナリオには、UPFの摂取を単に減らして置き換えを行わない場合と、減った分の食事エネルギーまたは食品重量を別の食品の組み合わせ(代替バスケット)で置き換える場合が含まれます。代替バスケットの一つは、同国の国家食事ガイドラインに沿った内容でした。さらに著者らは、このガイドライン準拠バスケットについて、環境への影響を食品グループごとに分解して調べています。
報告された主な結果
論文によれば、2019年におけるUPFの摂取は、9823件の早期死亡、349686年の損失生存年数、および8億4000万国際ドルの間接費用と関連していました。
最も意欲的な削減目標のもとでは、どの代替バスケットを用いても回避される死亡数は同じ8747件でしたが、環境面の結果は大きく異なったと報告されています。四つの環境指標すべてが改善する場合から、四つすべてが悪化する場合まで幅がありました。ガイドラインに沿ったバスケットでは、水使用量と富栄養化が増加する一方、温室効果ガス排出量と土地利用はほとんど変化しませんでした。
食品グループごとの分解からは、こうした全体としての結果が、少数の食品による相反する寄与を反映したものであることが示されました。
この研究が示すこと
著者らは、UPFの摂取を減らすことで健康面と経済面の相当な利益が得られる一方、環境面の同時的な利点は自動的に生じるものではなく、UPFに代わる食事のパターンに依存すると結論づけています。健康のための食事の見直しを考えるとき、「何を減らすか」と同じくらい「何に置き換えるか」が結果を左右する、という視点を示した研究です。
著者:Christian García-Witulski(Ponticia Universidad Católica Argentina)、Mariano Rabassa(Pontificia Universidad Catolica Argentina)、Oscar Melo(Pontificia Universidad Catolica de Chile)、Juliana Helo Sarmiento(Universidad de los Andes)、Valentina Strappa(Pontificia Universidad Católica de Chile)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Christian García-Witulski, Mariano Rabassa, Oscar Melo, et al. Health and environmental co-benefits of reducing ultra-processed food consumption in Argentina: a modelling study. Environmental Research Letters 2026-09-10. DOI: 10.1088/1748-9326/aea587. 原著ライセンス:CC BY.