著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:International Journal of Health Sciences

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

子どもの肥満は、代謝の異常などさまざまな健康上の問題のリスクを高めるとされ、大人になっても肥満が続きやすいことから関心が高まっています。子どもの栄養状態には、食事のほか、身体活動、健康状態、家庭環境、社会経済的な状況、生活習慣など多くの要因が関わります。

著者らは、体に必要な量を超えるエネルギーを長く取り続けると脂肪として蓄えられること、またたんぱく質は成長に欠かせない一方で、総エネルギーが多い食事の中では過剰なエネルギーの一因になりうることに着目しました。そこで研究チームは、肥満の子どもと標準的な栄養状態の子どもとで、エネルギーとたんぱく質の摂取量がどう違うのかを比べることを目的としました。

どのように調べたか

研究は、ある時点での状態を集団どうしで比べる「横断研究」の形で、2026年6月から8月にかけて行われました。対象は学齢期の子ども84人で、肥満の子ども42人と標準的な栄養状態の子ども42人です。保護者の同意があり、聞き取りに答えられ、特別な食事制限をしておらず、食生活に直接影響する慢性疾患がないことなどが参加の条件でした。

栄養状態は、体重と身長から求める体格指数(BMI)を年齢に照らして評価する方法で判定しました。食事については、前日24時間に食べたり飲んだりしたものを子どもと保護者に聞き取る「24時間思い出し法」を用い、食品成分表を使ってエネルギー量とたんぱく質量に換算しました。そのうえで、データの分布に応じた統計的な検定により2つのグループを比べています。

主な結果

論文によると、1日あたりの平均エネルギー摂取量は、肥満の子どもで2,145.6キロカロリー、標準的な栄養状態の子どもで1,782.4キロカロリーでした。平均たんぱく質摂取量は、肥満の子どもで78.5グラム、標準的な栄養状態の子どもで61.7グラムでした。

統計解析では、エネルギー摂取量(p=0.002)、たんぱく質摂取量(p=0.011)のいずれについても、両グループの間に統計的に意味のある差が認められたと報告されています。つまり、この研究の肥満の子どもたちは、標準的な栄養状態の子どもたちよりもエネルギーとたんぱく質を多く摂っていました。

ただし著者らは、たんぱく質の摂取量が多いことを直接肥満の原因とみなすことはできないと述べています。たんぱく質がどんな食品から摂られているか、総エネルギー量、食事全体、身体活動など、ほかの要因も関わるためです。たとえば動物性のたんぱく源は、脂質やエネルギーの多い食事と一緒に摂られることがあると指摘しています。

研究が示すこと

著者らは、子どもの肥満は食事の量だけでなく、身体活動、食事の質、遺伝、環境、家庭の習慣、睡眠など多くの要因が絡み合って起こるものだと強調しています。そのうえで、今回の結果は、子どもの肥満の予防や対応において、日々の食事内容を把握し見守ることの大切さを示すものだと位置づけています。

また論文は、成長期の子どもにはエネルギーもたんぱく質も必要であり、過度な食事制限ではなく、バランスのよい食事や適切な量、食品の質、身体活動に目を向けることが望ましいと述べています。肥満の子どもと標準的な栄養状態の子どもの間で摂取量に差があったというこの報告は、子どもの食生活を全体として見ていく視点の重要性を伝えています。

原著論文の著者・所属:Idris, Idris(Indonesian Muslim University, Indonesia)、Djunaedi, Djunaedi(STIKes Salewangan Maros, Indonesia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Idris, Idris, Djunaedi, Djunaedi. Comparison Of Energy And Protein Intake Between Obese And Normal-Nutrition Children. International Journal of Health Sciences 2026-08-18. DOI: 10.59585/ijhs.v4i3.1539. 原著ライセンス:CC BY.