日本主導:この研究は、筆頭著者・責任著者、または著者の主要所属が日本の研究機関である研究です。

掲載誌:Frontiers in Sports and Active Living

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

プロテインやビタミン剤といった「サプリメント」は、今やスポーツの現場でごく身近な存在です。一方で、トップアスリートの世界ではアンチ・ドーピングの観点から、口にするものの安全性や効果、そして本当に必要かどうかを慎重に見極める必要があります。では、管理栄養士などによる栄養サポートを受けた経験があるかどうかで、選手のサプリメントの摂り方に違いは出るのでしょうか。この点を調べた研究が、パリ2024オリンピックの日本代表候補選手を対象に行われました。

研究でわかったこと

この研究では、パリ2024オリンピックに出場した、あるいは候補となった日本代表選手800名を対象に、自己記入式のアンケート調査が行われました。調査項目は、過去1年間のサプリメント摂取状況、栄養サポートを受けた経験の有無、そしてサプリメントや水分補給に関する知識・実践についてです。サプリメントの分類には、オーストラリア・スポーツ研究所(AIS)による分類システムが用いられました。

結果として、全体の92.3%の選手が何らかのサプリメントを使用していることが示されました。さらに、栄養サポートを受けた経験がある選手の方が、経験のない選手に比べてサプリメント使用率が有意に高いことが報告されています(p<0.01)。また、AIS分類で「グループA」に区分される、科学的根拠に基づくスポーツフード(エビデンスのあるサプリメント)を摂取していた選手の間でも、栄養サポートの経験がある選手の方が摂取率が有意に高いという結果でした(p<0.01)。年齢や性別の影響を統計的に調整した後も、栄養サポートの経験は、サプリメント全体およびスポーツフードの摂取と関連していることが示されています。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

この研究が示しているのはあくまで「関連」であり、栄養サポートを受けることがサプリメントの摂取を「引き起こす」といった因果関係を証明したものではありません。論文の著者らも、この点は関連性にとどまるものだと述べています。そのうえで、管理栄養士が他の専門職スタッフと連携しながら、サプリメントの効果や安全性について、選手に科学的根拠に基づいた包括的な教育を提供していく必要性を指摘しています。

まとめ

今回紹介した研究では、パリ2024オリンピックの日本代表候補選手800名を対象とした調査から、9割を超える選手がサプリメントを利用していること、そして栄養サポートを受けた経験がある選手ほど、科学的根拠のあるスポーツフードの摂取率が高い傾向にあることが示されました。サプリメントとの付き合い方を考えるうえで、専門家による栄養サポートが果たす役割を考える一つの手がかりとなる研究といえそうです。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。出典(原著論文):パリ2024オリンピックに向けた日本トップアスリートのサプリメント摂取:栄養サポート経験による違い(フロンティアーズ・イン・スポーツ・アンド・アクティブ・リビング・2026年07月)

著者:Akiho Shinagawa(Department of Sports Medicine, Japan Institute of Sports Sciences, Japan High Performance Sport Center, Tokyo, Japan)、Kanae Myoenzono(Department of Sports Medicine, Japan Institute of Sports Sciences, Japan High Performance Sport Center, Tokyo, Japan)、Kanae Myoenzono(Faculty of Sports Sciences, Waseda University, Saitama, Japan)、Eri Takai(Department of Sports Medicine, Japan Institute of Sports Sciences, Japan High Performance Sport Center, Tokyo, Japan)、Hiroka Ohno(Department of Sports Medicine, Japan Institute of Sports Sciences, Japan High Performance Sport Center, Tokyo, Japan)、Keiko Namma-Motonaga(Department of Sports Medicine, Japan Institute of Sports Sciences, Japan High Performance Sport Center, Tokyo, Japan)、Etsuko Kamihigashi(Department of Sports Medicine, Japan Institute of Sports Sciences, Japan High Performance Sport Center, Tokyo, Japan)、Kazuyuki Kamahara(Department of Sports Medicine, Japan Institute of Sports Sciences, Japan High Performance Sport Center, Tokyo, Japan)、Akiko Kamei(Department of Sports Medicine, Japan Institute of Sports Sciences, Japan High Performance Sport Center, Tokyo, Japan)