著者の所属・活動拠点の国は、中国、アメリカです。

掲載誌:Foods

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

研究の目的

研究チームは、ハスの葉から抽出・精製したフラボノイドを、キトサンと抗菌酵素リゾチームを組み合わせたコーティングに加え、膜の性質とイチゴの保存性がどう変わるかを調べました。キトサンは膜をつくる材料として研究されていますが、リゾチームを加えた従来の配合でも、抗酸化作用や一部の細菌に対する抗菌作用には限りがあります。そこで、植物由来成分を加えることで機能を補えるか、また添加量によって保存効果と材料の性質がどう変わるかを検討しました。

何を、どのように調べたか

研究チームは、精製したハス葉フラボノイドの成分と、酸化に関わるラジカルを除去する働き、黄色ブドウ球菌と大腸菌に対する抗菌作用を調べました。さらに、フラボノイドを質量/体積濃度で0.1%、0.2%、0.3%加えたリゾチーム・キトサンの膜を作り、キトサンのみ、リゾチーム・キトサンのみの膜と比較しました。膜の構造、水や気体の通しやすさ、強さや伸びやすさ、抗酸化・抗菌作用などを評価しました。

保存試験には、イチゴ「紅ほっぺ」192個を用いました。水に浸す対照群と、上記5種類のコーティング群に無作為に分け、各群32個としました。果実を水またはコーティング液に30秒間浸して乾燥させた後、温度25±2℃、相対湿度55±5%で6日間保存しました。開始時と2、4、6日目に各群8個を調べ、腐敗の発生、重量減少、硬さのほか、ビタミンC、総フェノール、果実の色素であるアントシアニンなどを測定しました。

主な報告結果

研究チームは、0.2%と0.3%のフラボノイドを加えたコーティングで、保存中の腐敗と重量減少が抑えられ、硬さが保たれたと報告しました。これらの処理では、ビタミンC、総フェノール、アントシアニンもよりよく保持されました。

膜の試験では、フラボノイドを加えた配合は、キトサンのみ、リゾチーム・キトサンのみの場合よりも、抗酸化作用と実験室での抗菌作用が強くなりました。ただし、細菌の増殖を抑えた試験は培地上で行ったもので、イチゴ表面での抗菌効果を直接測定したものではありません。

一方、添加量を増やせば膜の性質がすべて良くなるわけではありませんでした。フラボノイドを加えると膜の色が濃くなり、不透明さが増すなど、複数の性質が変化しました。0.2%の配合では、引っ張ったときの強さと切れるまでの伸びが試験した配合の中で最も高く、水蒸気の通しやすさはキトサンのみ、リゾチーム・キトサンのみの膜と統計的に同程度でした。0.3%に増やしても保存面での上乗せ効果は限られ、水蒸気の通しやすさと不透明さが増し、強さや伸びやすさは0.2%より低下しました。

この報告が示すこと

著者らは、ハス葉フラボノイドの添加は、保存効果だけでなく膜の扱いやすさに関わる性質も変えるため、配合のバランスが重要だと結論づけています。今回試した範囲では、0.2%がすべての項目で最良だったわけではなく、材料特性と短期の保存効果を総合して最もバランスのよい配合と位置づけられました。

保存試験は、単一品種・同じ収穫ロットのイチゴを用い、一つの室温条件で1回行われたものです。また、コーティングした果実の味や食感などの受け入れやすさは直接評価していません。この報告は、こうした試験条件の下で、植物由来成分の添加量を調整することがコーティングの機能を左右することを示しています。

原著論文の著者・所属:Xinrui Gao(Hubei Shizhen Laboratory, Wuhan 430065, China; School of Laboratory Medicine, Hubei University of Chinese Medicine, Wuhan 430065, China)、Lei Xiong(Hubei Shizhen Laboratory, Wuhan 430065, China; School of Laboratory Medicine, Hubei University of Chinese Medicine, Wuhan 430065, China)、Dexin Zhang(Hubei Shizhen Laboratory, Wuhan 430065, China; School of Laboratory Medicine, Hubei University of Chinese Medicine, Wuhan 430065, China)、Xi Feng(Department of Nutrition, Food Science, and Packaging, San Jose State University, San Jose, CA 95192, USA)、Huiqing Wu(Hubei Shizhen Laboratory, Wuhan 430065, China; School of Laboratory Medicine, Hubei University of Chinese Medicine, Wuhan 430065, China)、Wen Huang(College of Food Science and Technology, Huazhong Agricultural University, Wuhan 430070, China)、Zhili Ma(Hubei Shizhen Laboratory, Wuhan 430065, China; School of Laboratory Medicine, Hubei University of Chinese Medicine, Wuhan 430065, China)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Xinrui Gao, Lei Xiong, Dexin Zhang, et al. Purified Lotus Leaf Flavonoids in Lysozyme–Chitosan Coatings: Effects on Coating Properties and Strawberry Preservation. Foods(出版社:Multidisciplinary Digital Publishing Institute) 2026-08-30. DOI: 10.3390/foods15173073. 原著ライセンス:CC BY.