著者の所属・活動拠点の国は、デンマーク、スウェーデンです。
掲載誌:International Journal of Gastronomy and Food Science
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
食べ物と飲み物の組み合わせ(ペアリング)が全体の味わいをどう形づくるのかを、感覚を科学的に測る手法で調べる研究が増えています。著者らは、高品質な食材の組み合わせとして白ワインとキャビアに注目しました。
この研究では、口に入れる順番と組み合わせ方が、ワインとキャビアの感じ方にどう影響するかを調べました。組み合わせ方は、ワインとキャビアを順に味わう方法と、両者を同時に混ぜて味わう方法の二通りです。
何をどのように調べたか
材料には、スウェーデン産の白ワイン2種類(泡のないスティルワインとスパークリングワイン)と、高級ブラックキャビア2種類を使いました。2種類のキャビアは、加温による安定化処理と低温による安定化処理という異なる方法で作られたものです。
これらを組み合わせた16通りのサンプルを、訓練を受けた分析型の官能評価パネルが評価しました。評価には、香りや味などの特徴ごとに感じた強さを数値で記録する「定量的記述分析」という手法が用いられました。
主な結果
研究チームによると、組み合わせの間で感じ方に有意な違いが見られ、その違いを主に生んでいたのはキャビアの種類よりも、口に入れる順番でした。
キャビアを先に食べてからワインを飲んだ場合、果実のような風味、酸味、舌がピリピリする感じ、口の中が乾く感じがより強く感じられました。反対に、ワインを先に口にした場合は、土のような風味と塩味が際立ちました。
ワインとキャビアを混ぜたサンプルは、こうした順番による違いに対して中間的な味わいの特徴を示したと報告されています。さらに、混ぜた状態ではリコリス(甘草)のような風味が新たに現れ、混ぜている時間が長いほど強くなりました。この傾向は、低温安定化された「パール」キャビアを含む組み合わせで特に目立ったとされています。
多くのデータの傾向をまとめて見る主成分分析では、どちらのワインでも、味わう順番と混ぜ方によってサンプルがはっきりと分かれました。スパークリングワインでは2種類のキャビアの違いがより大きく表れ、著者らはその理由として、酸味の強さや泡による触感の影響が考えられるとしています。また、特徴同士の相関を調べたところ、口に入れる順番によって異なる感じ方の道筋を反映した、二つの安定した特徴のグループが見られました。
研究が示すこと
著者らは、ワインとキャビアのペアリングでは、何をどの順番で、どのように口にするかという時間の流れと、複数の感覚の相互作用が味わいを大きく左右すると結論づけています。同じ食材の組み合わせでも、味わい方によって受ける印象が変わりうることを示した研究です。
原著論文の著者・所属:K. Wendin(Department of Food Science, University of Copenhagen, Copenhagen, Denmark; Faculty of Natural Science, Kristianstad University, Kristianstad, Sweden)、B. Collin(Faculty of Natural Science, Kristianstad University, Kristianstad, Sweden)、S. Forsberg(Faculty of Natural Science, Kristianstad University, Kristianstad, Sweden)、H. Scander(School of Hospitality, Culinary Arts & Meal Science, Campus Grythyttan, Örebro University, Sweden)、R. Albin(Rickard Albin AB, Lund, Sweden)、F. Åhrberg(Kullaberg Vineyard, Nyhamnsläge, Sweden)、T. Ranta(Arctic Roe of Scandinavia, Strömsnäsbruk, Sweden)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):K. Wendin, B. Collin, S. Forsberg, et al. White wine, sparkling white wine and black caviar – The sensory experience of pairing of flavours. International Journal of Gastronomy and Food Science 2026-08-29. DOI: 10.1016/j.ijgfs.2026.101636. 原著ライセンス:CC BY.