「このビタミンを摂ればがんが防げる」「あの食品にはがんを治す効果がある」——こうした情報は書籍やインターネット上にあふれています。しかし、こうした主張は実際の科学的根拠に基づいているのでしょうか。今回紹介するのは、特定の食品・ビタミン・ミネラル・サプリメントががんの予防や治癒に効果があるのかどうかを、既存の研究をもとに検討した報告です。

研究でわかったこと

この報告によると、特定の食品、ビタミン、ミネラル、サプリメントががんを予防または治癒するという直接的な証拠は存在しないとされています。

一方で、地中海式食事のような食事パターン全体については、がんのリスク低減と関連する可能性があることが既存の研究から示されています。特定の一つの食品や成分ではなく、食事全体のパターンに着目している点が特徴です。

また、ビタミンやミネラルなどのサプリメントを摂取することの効果については、結論が出ていないと報告されています。さらに、サプリメントの摂取が有害となる可能性も指摘されています。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

この報告で示されているのは、特定の単一成分による予防・治癒効果を裏づける直接的な証拠が見当たらないという整理であり、食事パターンについても「リスクを下げる可能性がある」という関連が示されているに留まります。サプリメントの効果については結論が出ておらず、有害性の可能性も含めて、今後さらなる検討が必要な領域といえます。

まとめ

今回の報告では、特定の食品やビタミン、ミネラル、サプリメントががんを予防または治癒するという直接的な証拠はないとされる一方、地中海式食事のような食事パターンとがんリスクとの関連が示唆されています。サプリメントについては効果が定まっておらず、場合によっては有害となりうる可能性も指摘されており、特定の成分に頼るのではなく、食事全体のあり方を考える視点が重要であることがうかがえます。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:がんを予防または治癒できる特定の食品、ビタミン、ミネラル、サプリメントは存在するか?(ゼノド(欧州原子核研究機構)・2026年08月)