ビタミンDは骨の健康などに関わる栄養素で、皮膚が紫外線(UV)を受けることで体内でも作られます。ところが緯度の高い地域では冬場の日照が乏しく、子どものビタミンD不足がしばしば課題になるといわれています。では、そうした地域の子どもに対して、屋外で過ごす時間を増やすことと、ビタミンDのサプリメントを摂ることでは、どちらがより確実に体内のビタミンD状態を改善できるのでしょうか。中国東北部という高緯度地域の子どもを対象に、この問いに取り組んだ研究が報告されました。

研究でわかったこと

この研究では、2つの試験が行われました。1つ目は、61人の子どもを対象に、6月から8月の8週間にわたって屋外活動の時間を増やしてもらう試験です。屋外にいた時間とその間の紫外線の強さを記録し、血液中のビタミンD(25(OH)D3)の濃度がどう変化するかを調べました。その結果、屋外活動の時間は1日あたり平均11分増加し、紫外線から作られると推定されるビタミンD量も1日あたり60.73IU増えたものの、実際の血中ビタミンD濃度は試験前後でほとんど変わりませんでした(18.52±4.07 ng/mlから18.25±3.11 ng/ml)。また、この変化は屋外にいた時間や紫外線の強さ、紫外線から推定されるビタミンD産生量とは関連していなかったと報告されています。

2つ目は、289人の子どもを0IU/日、400IU/日、800IU/日のいずれかのビタミンDサプリメントを8週間摂取する3グループにランダムに分け、摂取量と血中ビタミンD濃度の変化の関係を調べたランダム化比較試験です。その結果、血中ビタミンD濃度は400IU/日のグループで平均8.82±7.53 ng/ml、800IU/日のグループで平均15.06±9.40 ng/ml増加したとされています。この結果から、食事由来とサプリメント由来を合わせた総摂取量として、血中ビタミンD濃度を30ng/ml以上にするには少なくとも1日733.21IUが必要になると推定されました。さらに、CYP2R1という遺伝子の特定の型(rs1562902のCT/TT型、rs10741657のAG/GG型)を持つ子どもでは、サプリメントへの反応がやや低い傾向がみられたことも報告されています。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

この研究では、屋外活動を増やすだけでは血中ビタミンD濃度の改善にはつながらなかった一方、サプリメントの摂取は用量に応じて濃度を増加させたとされています。ただし、これは中国東北部という特定の地域の子どもを対象にした一つの研究であり、対象人数も61人および289人という規模にとどまります。屋外活動の効果が見られなかった理由や、遺伝子型による反応の違いの詳しい機序についても、要旨の範囲では明らかにされていません。結論が広く確定したものというわけではなく、今後さらに研究が積み重ねられていく分野と考えられます。

まとめ

高緯度地域の子どもを対象にしたこの研究では、屋外活動時間を増やすことよりも、ビタミンDサプリメントを摂取することの方が血中ビタミンD濃度の改善に結びついたと報告されています。また、必要な摂取量には個人差があり、遺伝的な要因も関わりうることが示唆されています。今後、個々の子どもに合わせたビタミンD摂取量の検討に役立つ知見の一つといえそうです。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:中国東北部における小児のビタミンD欠乏に対する介入方法と影響要因:自己対照試験およびランダム化比較試験(フロンティアーズ・イン・ニュートリション・2026年08月)