著者の所属・活動拠点の国は、ブラジルです。
掲載誌:European Food Research and Technology
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
研究チームは、乳酸を加えた米粉で膨らませた食品を作る際に、米粉の一部を若い竹の茎から作った粉に置き換えると、加工のしやすさや製品の性質がどう変わるかを調べました。竹の粉は食物繊維を豊富に含みますが、水に溶けにくい繊維を加えると、膨らみにくくなるなどの課題があります。そこで、新たな繊維原料としての利用可能性を検討しました。
何を、どのように調べたか
研究チームは、生後約4か月の竹の茎から作った粉を使い、米粉を置き換える割合が0%、2.5%、5%、7.5%の4種類を比較しました。すべての配合に乳酸と食塩をそれぞれ0.5%加え、水分を16%に調整しました。これらを、加熱しながらスクリューで練り、出口から押し出して膨らませる「押出調理」で加工しました。加工は各配合で2回行いました。
加工時に原料1 kg当たりに投入される機械的エネルギーに加え、製品の膨らみ、密度、硬さ、色、水の吸収しやすさ、水に溶け出す成分の割合、加熱・冷却時の粘度などを測定しました。また、製品全体と、製品から分離・回収した竹の粒子をそれぞれ使い、ビフィズス菌の一種を37℃で24時間培養して、菌の増殖を支える働きも調べました。
主な報告結果
著者らは、米粉の一部を竹の粉に置き換えると、竹の粉を加えない製品に比べて、加工時の機械的エネルギー、製品の膨らみの指標、密度がいずれも有意に低下したと報告しています。竹の粉の割合を増やすと、製品を切断するのに必要な力で評価した硬さも低下しました。色は、竹の粉を加えない製品の淡い色から、より暗く黄色みの強い色へ変わりました。
竹の粉の割合が高い製品ほど、水を吸収して保持する指標は上昇する一方、水に溶け出す成分の割合は低下しました。加熱・冷却時の粘度も、竹の粉を加えない製品より低くなりました。顕微鏡観察などから、竹の粉を含む製品では、押出調理の後も一部のでんぷん粒が十分に糊化せず残っていたことが示されました。糊化とは、でんぷんが水と熱によって膨らみ、のり状になる変化です。
ビフィズス菌の培養試験では、製品全体を使った場合、竹の粉の配合割合による増殖の有意な差はありませんでした。一方、製品から回収した竹の粒子を比較すると、5%配合の製品から得た粒子が最も高い増殖促進活性を示しました。著者らは、押出調理後も竹の粒子に菌の増殖を支える働きが残っていたと解釈しています。
この報告が示すこと
研究チームは、若い竹の茎の粉を、乳酸を加えた米粉の押出食品に利用できる食物繊維原料として位置づけています。この報告は、繊維を加えることが膨らみだけでなく、食感や水とのなじみ方など、複数の加工特性に関わることを示しています。
ただし、乳酸、でんぷん、竹の繊維などの相互作用によって変化が生じたという説明は、仕組みを直接検証したものではありません。また、菌の増殖を支える働きは培養試験での結果です。食品原料としての加工特性と、培養条件下で残る働きを示した報告として読む必要があります。
原著論文の著者・所属:Ulliana Marques Sampaio(Department of Food Science and Nutrition, School of Food Engineering, Universidade Estadual de Campinas, Cidade Universitária Zeferino Vaz, Monteiro Lobato, 80, CEP 13.083-870, Campinas, São Paulo, Brazil)、Hugo José Martins Carvalho(Department of Food Science and Nutrition, School of Food Engineering, Universidade Estadual de Campinas, Cidade Universitária Zeferino Vaz, Monteiro Lobato, 80, CEP 13.083-870, Campinas, São Paulo, Brazil)、Marcos Fellipe da Silva(Bioprocess and Metabolic Engineering Laboratory, Department Food Engineering and Technology, School of Food Engineering, Universidade Estadual de Campinas – Cidade Universitária Zeferino Vaz, Monteiro Lobato, 80, CEP 13.083-870, Campinas, São Paulo, Brazil)、Rosana Goldbeck(Bioprocess and Metabolic Engineering Laboratory, Department Food Engineering and Technology, School of Food Engineering, Universidade Estadual de Campinas – Cidade Universitária Zeferino Vaz, Monteiro Lobato, 80, CEP 13.083-870, Campinas, São Paulo, Brazil)、Maria Teresa Pedrosa Silva Clerici(Department of Food Science and Nutrition, School of Food Engineering, Universidade Estadual de Campinas, Cidade Universitária Zeferino Vaz, Monteiro Lobato, 80, CEP 13.083-870, Campinas, São Paulo, Brazil)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ulliana Marques Sampaio, Hugo José Martins Carvalho, Marcos Fellipe da Silva, et al. Effects of young bamboo flour on techno-functional properties of extrudates produced from acidified rice flour. European Food Research and Technology(出版社:Springer Science+Business Media) 2026-11-03. DOI: 10.1007/s00217-026-05313-3. 原著ライセンス:CC BY.