スナック菓子のパッケージに書かれたブランド名を見ただけで、私たちはその食品が軽いのか重いのか、なんとなく印象を持ってしまうことがあります。カナダ・カールトン大学の研究チームは、ブランド名に含まれる「音」そのものが、食品の重さや満腹感に対する期待にどう影響するのかをオンライン実験で調べました。

手がかりとなったのは「音象徴」と呼ばれる現象です。これは、特定の音が意味と結びつきやすいという言語学的な性質を指し、この研究では「大きさ」を連想させる音の種類に注目しています。具体的には、奥舌母音(口の奥のほうで発音される母音)・共鳴子音・有声破裂音は「大きいもの」を連想させやすく、逆に前舌母音(口の前のほうで発音される母音)・無声摩擦音・無声破裂音は「小さいもの」を連想させやすいとされる音の分類です。

架空のブランド名でスナックの印象を比較

研究チームは、オンラインで実施した2つの実験(参加者は合計601人)で、スナック菓子の文章による説明とともに、大きさを連想させる音を含む架空のブランド名、あるいは小ささを連想させる音を含む架空のブランド名を参加者に提示しました。そのうえで、そのスナックがどれくらい重く感じられるか、どれくらい満腹感がありそうかを尋ねています。

その結果、大きさを連想させる音を含むブランド名が付けられたスナックは、小ささを連想させる音を含むブランド名のスナックに比べて、より重く、より満腹感が高いものとして受け止められる傾向が示されました。

「軽い食べ物が好きな友人」への贈り物選びにも影響

さらに研究チームは、参加者に「軽い食べ物を好む友人」あるいは「重い(食べ応えのある)食べ物を好む友人」のためにスナックを買うところを想像してもらう場面も設定しました。すると、軽い食べ物を好む友人を想定した場合には、小ささを連想させる音を含むブランド名のスナックのほうが、大きさを連想させる音を含むブランド名のスナックよりも購入意向が高くなることが報告されています。つまり、ブランド名の音の印象は、実際に「買うかどうか」という判断にもつながりうることが示唆されました。

この研究の位置づけと読むうえでの注意

この研究は、実際の商品パッケージや味覚体験ではなく、文章による食品の説明と架空のブランド名を用いたオンライン実験に基づくものです。そのため、実店舗での購買行動や、実物の商品を手にした際の印象にそのまま当てはまるとは限りません。あくまで一つの研究であり、これだけで結論が確定したわけではない点に留意が必要です。

研究チームは、こうした音象徴を考慮することが、食品のブランド名やパッケージデザインを検討するうえでの一つの視点になりうると位置づけています。

まとめ

ブランド名に含まれる音の響きが、食品の重さや満腹感、さらには購入意向にまで関わりうることを示したこの研究は、私たちが普段何気なく受け取っている商品名の印象について考えるきっかけになりそうです。今後、実際の商品や異なる文化圏でも同様の傾向が見られるのか、さらなる研究の展開が注目されます。

※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。参考文献:David Sidhu, Johanna Peetz, Rachel J. Burns. That sounds lean and light! Sound symbolism shapes food expectations. フード・クオリティ・アンド・プレファレンス (2026). DOI: 10.1016/j.foodqual.2026.106068. 原著ライセンス: cc-by.