この研究は、フィリピンの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Asian Journal of Advanced Research and Reports

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

何を明らかにしようとした研究か

大学の入学選考では、第一志望の学科に入れず、別の学科に振り分けられて学び始める学生がいます。この研究は、そうした「第一志望ではない学生」が、配属先のプログラムでどれだけ学ぶ意欲を持ち、どの程度技能を身につける準備ができているのかを調べたものです。

対象となったのは、フィリピン北部の州立大学の調理技術プログラムに在籍する学生で、2025〜2026学年度の状況が調査されました。著者らは、学生の内発的な動機づけ(興味や向上心など、自分の内側から生まれる意欲)と外発的な動機づけ(周囲の期待や将来の見通しなど、外側の要因による意欲)を測るとともに、技術的な技能、認知的な技能、仕事に関わる技能という三つの面から準備の度合いを評価しました。さらに、学生が直面している困難を洗い出し、それに対する支援策を提案することも目的に含めています。

どのように調べたか

著者らは、数値で測る量的調査と、語りを読み解く質的調査を組み合わせた「混合研究法」を用いました。量的なデータはアンケート調査によって集め、質的なデータは半構造化面接(あらかじめ用意した質問を軸にしつつ、話の流れに応じて掘り下げる聞き取り)で得たうえで、語られた内容から共通する主題を抽出するテーマ分析にかけています。

報告された主な結果

論文によれば、第一志望ではない学生たちの動機づけは高い水準にあり、全体平均は3.56でした。著者らは、調理技術が当初の志望プログラムではなかったにもかかわらず、内発的・外発的な動機づけの要因がいずれも強くはたらいていることを示すものだと述べています。

技能の準備度合いについては、平均3.10で「許容できる水準」と報告されています。とりわけ、基本的な調理の力、食品衛生に関する知識、新しい調理技術を学ぼうとする姿勢の面で準備が見られたとされています。

質的な分析からは、動機づけと技能の準備度合いのあいだに意味のある関係があることが確認されました。個人としての目標をしっかり持ち、この課程に関心を抱き、自分を高めたいと望む学生は、調理の技能を伸ばし実際に使える状態になりやすかったと報告されています。

一方で、学生が挙げた主な困難として、調理経験がこれまでほとんどなかったこと、実習の機会が足りないこと、時間の管理や複数の作業を同時に進めることの難しさ、教室の外で練習できる場が限られていることが挙げられました。こうした結果をふまえ、著者らは、基礎を橋渡しする調理の導入プログラム、実習室での活動の充実、学生同士の助け合いによる指導、厨房を模した実践的な演習、自信を育てる取り組みといった介入策を提案しています。

この報告が示すこと

著者らは、第一志望ではない調理技術の学生にとって、技能の準備度合いを高めるうえで動機づけが重要な役割を果たすと結論づけています。そして、入学時にどの経路で配属されたかにかかわらず、支えのある学習環境と実際に体験しながら学ぶ機会が、力があり自信を持って現場に出られる卒業生を育てるために欠かせないと述べています。

志望どおりでない学科に進んだ学生を「意欲が低い集団」と見なしてしまいがちですが、この調査はそうした見方に再考を促す報告として読むことができます。

著者:Gerlie D. Miole(Mariano Marcos State University, Laoag Campus, Laoag City 2900, Ilocos Norte, Philippines)、Christian Jay P. Pungtilan(Mariano Marcos State University, Laoag Campus, Laoag City 2900, Ilocos Norte, Philippines)、Jon – Jon P. Graniada(Mariano Marcos State University, Laoag Campus, Laoag City 2900, Ilocos Norte, Philippines)、Jasper Kim M. Rabago(Mariano Marcos State University, Laoag Campus, Laoag City 2900, Ilocos Norte, Philippines)、Jerylvin A. Rabago(Mariano Marcos State University, Laoag Campus, Laoag City 2900, Ilocos Norte, Philippines)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Gerlie D. Miole, Christian Jay P. Pungtilan, Jon – Jon P. Graniada, et al. Motivation Level and Skills Preparedness of Non-priority Students under the Culinary Technology Program. Asian Journal of Advanced Research and Reports 2026-09-23. DOI: 10.9734/ajarr/2026/v20i101469. 原著ライセンス:CC BY.