コンブチャは、紅茶や緑茶に砂糖を加え、細菌と酵母の共生培養体(SCOBY)で発酵させて作る伝統的な発酵飲料です。発酵とは、微生物が糖などの炭水化物を分解し、酸やガス、アルコールといった別の化学物質に変える代謝プロセスを指します。近年、コンブチャは基本的な栄養価に加えて健康面でのメリットが期待される「機能性食品」として注目を集めています。今回紹介する研究では、生姜の仲間である「マンゴージンジャー(Curcuma mangga)」を使ったコンブチャを取り上げ、発酵日数によって飲料の性質や抗酸化活性がどのように変化するのかが調べられました。
研究でわかったこと
この研究では、完全無作為化デザインという実験手法を用い、発酵日数を5日、7日、10日、14日の4パターンに分け、それぞれ3回ずつ繰り返して(合計12サンプル)マンゴージンジャーコンブチャが作られました。測定された項目は、pH、糖度(°Brix)、総溶解固形分(TDS)、色(明度L*、赤み a*、黄み b*)、そしてDPPH法という手法で評価した抗酸化活性(IC50、数値が小さいほど抗酸化力が強いとされる指標)です。得られたデータはANOVAとBonferroni事後検定という統計手法で、95%の信頼水準のもとで分析されました。
結果として、発酵時間が長くなるほどpH・糖度・TDSは低下し、明度(L*)は上がる一方で、赤み(a*)と黄み(b*)は下がる傾向が見られました。つまり発酵が進むにつれて、飲料はより酸性で糖分が少なく、色も明るく薄い方向に変化したことになります。
抗酸化活性(IC50)については、すべてのサンプルで「非常に強い」とされる水準が保たれていました。とりわけ10日目には2.60ppm、14日目には2.41ppmとピークに達しています。7日目には統計的に有意な(p<0.05)低下がみられ、その後10日目にかけて急上昇するという動きが確認されており、研究チームはこれを微生物の代謝が活発化し、生理活性成分が変化した結果ではないかと考察しています。14日間の発酵では、抗酸化活性がピーク後も安定して維持される一方、pHとTDSは低下を続けたことから、この時点で生理活性成分の放出が最大化していた可能性が示唆されています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究は、特定の発酵条件下でのマンゴージンジャーコンブチャの理化学的特性と抗酸化活性を実験的に評価したものであり、飲用による具体的な健康効果や体内での作用を直接示したものではありません。IC50という指標はあくまで試験管内(DPPH法)での抗酸化力の強さを表すものであり、実際に人が摂取した場合にどのような影響があるかについては、この要旨からは分かりません。また、一つの研究であり結論が確定したわけではなく、今後さらに検証が重ねられることが期待されます。
まとめ
マンゴージンジャーを使ったコンブチャは、発酵日数が進むにつれてpHや糖度が下がり、色合いも変化する一方、抗酸化活性は14日目に安定して高い水準に達したことが報告されています。研究チームは、14日間の発酵が生理活性成分の放出という観点で最適であった可能性を指摘しており、機能性飲料としての応用可能性が示唆される結果となっています。今後、こうした発酵飲料がどのような特性を持つのか、さらなる研究の広がりに注目したいところです。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:マンゴージンジャー(Curcuma mangga)コンブチャの抗酸化活性(IC50)と理化学的特性(インドネシア栄養学雑誌(ジュルナル・ギジ・インドネシア)・2026年06月)