近年、持続可能な海洋資源として「クラゲ」を食品に活用する試みが世界各地で提案されています。しかし、クラゲを日常的に食べる文化を持たない欧米圏の消費者が、実際にクラゲ料理をどう受け止めるのかについては、これまであまり詳しく調べられてきませんでした。今回紹介する研究は、フィンランド・アイルランド・オランダという3か国、合計980名を対象に、食品としてのクラゲに対する態度や感情的な反応をオンライン調査で探ったものです。
どんな方法で調べたのか
参加者は、クラゲを使った3種類の料理写真を見せられました。具体的には、クラゲの「腕」をサラダにしたもの、傘の部分を細切りにしてスープにしたもの、そして傘全体をチップスに調理したものです。参加者はそれぞれの写真を見ながら「これを食べるとしたらどう感じるか」を想像し、適切だと思うか、おいしそうだと感じるか、買いたいと思うかといった評価に加え、食べる場面や合わせたい料理、そしてそのとき湧き上がる感情(喜びや嫌悪感など)や、その感情に影響する要因についても回答しました。国によって反応が異なることが示された
結果として、クラゲへの態度や食べたいと思う形態、感情的な反応には、国ごとに違いがあることが示されました。全体的な傾向としては、クラゲがそのままの形ではなく加工されたり、料理に溶け込むような形で提供されたりする場合や、魚や米と組み合わされる場合、そして「新しい体験を試してみよう」という探索的な食事の場面において、食べてみたいという気持ちが高まりやすいことが報告されています。また、興味深いことに、感情反応のパターンは「どの料理か」よりも「どの国の参加者か」によってグループ分けされる傾向が見られたとされています。つまり、同じクラゲ料理でも、国によって喚起される感情の傾向自体が異なっていた可能性が示唆されています。6つの消費者タイプが浮かび上がった
受容度と感情反応のデータをもとに、参加者は「怒りを感じて拒否するタイプ」「嫌悪感から拒否するタイプ」「特に強い感情を持たない中立タイプ」「落ち着いて受け入れるタイプ」「わくわくして受け入れるタイプ」「誇らしさを感じて受け入れるタイプ」という6つのセグメントに分類されました。これらのグループ間では、年齢や性別といった人口統計学的な特徴や食生活に関する傾向のほか、クラゲの受容度、新しい食べ物に対する警戒心(食物新奇性恐怖)、嫌悪感の感じやすさ、旅行先での食体験に関する行動などに違いが見られたと報告されています。この研究の位置づけと読むうえでの注意
本研究は、フィンランド・アイルランド・オランダという特定の3か国の参加者を対象としたオンライン調査であり、写真をもとに「食べることを想像した」際の反応を尋ねる形式で行われています。そのため、実際にクラゲ料理を口にした場合の感想や、他の国・文化圏における傾向が同様であるかどうかは、この研究だけからは断定できません。あくまで一つの研究であり、クラゲ食に関する結論が確定したわけではない点に留意する必要があります。まとめ
この研究では、欧州3か国の消費者を対象に、食品としてのクラゲへの態度や感情反応が調べられ、加工度の高い形態や馴染みのある食材との組み合わせ、探索的な食事の場面で受容度が高まりやすいことや、感情反応には国ごとの違いがあることが示唆されました。また、受容度と感情パターンに基づいて6つの消費者セグメントが特定されたことも報告されています。これらの知見は、消費者の好みに合わせたクラゲ由来の食品開発の方向性を考えるうえでの手がかりになるとされています。※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:食品としてのクラゲに対する態度と感情:欧州多国間研究(フード・クオリティ・アンド・プレファレンス・2026年07月)