「尿酸」と聞くと、痛風など数値が高すぎることによる健康問題を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし尿酸は本来、体内で作られる抗酸化物質のひとつで、酸化ストレスを抑えたりエネルギー代謝に関わったりする役割も担っています。近年、この尿酸が骨格筋(体を動かす筋肉)の健康と関連しているのではないかという報告が注目されています。ただし、体重が低めの若い女性においてこの関連がどうなっているかは、これまであまり調べられていませんでした。今回紹介するのは、低体重の若い女性を対象に、血清尿酸値と筋力・筋肉量との関連を調べた研究です。
研究でわかったこと
この研究では、2022年から2024年にかけて島根大学で健康診断を受けたBMI18.5未満(低体重)の女子大学生73名を対象に、詳しい検査が行われました。参加者は、アジアのサルコペニア(加齢や様々な要因による筋肉量・筋力の低下)に関する診断基準(AWGS2019)の基準値をもとに、筋肉量や握力(筋力の指標)の状態によっていくつかのグループに分けられ、血清尿酸値が比較されました。また、尿酸値と筋肉に関する指標との相関関係も解析されています。
その結果、血清尿酸値は握力と正の相関を示しました(相関係数r=0.273、p=0.013)。つまり、尿酸値が高い人ほど握力も高い傾向がみられたということです。一方で、骨格筋量の指標(SMI)とは明確な関連が認められませんでした(r=0.080、p=0.503)。
さらに、筋肉量が少なく握力も低下していたグループは、筋肉量のみ少ないグループに比べて、血清尿酸値が有意に低いことも示されました(3.4±0.7 mg/dLと4.1±0.6 mg/dL、p=0.020)。年齢や骨格筋量、腎機能の指標であるeGFR、1日のエネルギー摂取量、身体活動量といった他の要因の影響を統計的に調整した多変量解析でも、血清尿酸値は握力と独立して関連していることが確認されました。これらの結果から、この研究では、低体重の若い女性において血清尿酸値は筋肉の「量」よりも「機能(力)」との関わりが強い可能性が示唆されています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究は、ある一時点でのデータをもとに関連を調べた横断研究であり、対象者は73名という限られた人数の日本人女子大学生です。そのため、尿酸値が握力に影響を与えているのか、それとも別の要因が両方に影響しているのかといった因果関係までは、この研究だけでは明らかになっていません。論文の著者らも、この関連の背景にあるメカニズムを明らかにするにはさらなる研究が必要だと述べています。一つの探索的な研究として、あくまで参考情報として捉えることが大切です。
まとめ
低体重の若い女性を対象にしたこの研究では、血清尿酸値が骨格筋量とは関連せず、握力とは関連することが示されました。尿酸というと数値の高さが問題視されがちですが、低体重の女性における筋機能との関わりという切り口は、栄養と筋肉の健康を考えるうえで興味深い視点といえそうです。今後、より大規模な研究やメカニズムの解明が進むことが期待されます。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:低体重若年女性における血清尿酸値と筋機能の関連:探索的横断研究(プロスワン・2026年08月)