朝食用のフレーク製品といえば小麦やとうもろこしを原料にしたものが一般的ですが、近年は食物繊維やタンパク質を強化した「機能性」をうたう食品への関心が高まっています。今回紹介する研究は、白サツマイモ(Ipomoea batatas)と予備加熱したエンドウ豆(Pisum sativum)という、栄養的な特徴が異なる2つの素材を組み合わせて、血糖値の上がりやすさの指標である「グリセミック指数(GI)」が低いフレークを作れないかを検討したものです。サツマイモは炭水化物が豊富で食感や風味づけに優れる一方、エンドウ豆はタンパク質や食物繊維を多く含むとされ、両者の配合比を変えることで食品の性質がどう変わるのかを調べています。

研究でわかったこと

研究チームは、小麦粉を35%で固定したうえで、白サツマイモ粉とエンドウ豆粉の比率を変えた3種類の配合(F1:サツマイモ粉30%・エンドウ豆粉35%、F2:35%・30%、F3:40%・25%)でフレークを試作しました。エンドウ豆はあらかじめオートクレーブ(高圧・高温処理)で予備加熱してから乾燥・製粉し、サツマイモはそのまま粉に加工したうえで生地にまとめ、蒸してから焼く工程でフレークに仕上げています。

できあがったフレークについては、一般成分(灰分・脂質・タンパク質など)、食物繊維、アミロース(でんぷんの成分)、硬さ、さらに含まれる化学成分を網羅的に調べる「メタボローム解析」、そして官能評価(人による味や食感の評価)が行われました。その結果、エンドウ豆粉の配合を増やすほど、灰分・脂質・タンパク質・硬さ・アミロース・食物繊維の値、そして官能評価のスコアが統計的に有意に高くなったと報告されています。特にエンドウ豆粉の比率が最も高いF3では、脂質含量が最も低く、食物繊維は4.8%を超えて最も多く、官能評価でも5点満点中4.1点と最も高い受容性を示したとされています。

また、網羅的な化学成分の解析では、配合の違いに強く関連する植物由来の化学成分(フィトケミカル)が15種類特定されたということです。全体としては、エンドウ豆粉を増やすとタンパク質・食物繊維・レジスタントスターチ(消化されにくいでんぷん)や生理活性成分が増える傾向がある一方、白サツマイモ粉を増やすと炭水化物含量や食感、官能的な好ましさ、うま味に関連する成分が向上する傾向がみられたと述べられています。そのうえで、配合の異なるF1とF3の両方が低いGI値(それぞれ32、49)を示し、血糖コントロールに配慮した機能性フレークとしての可能性が示唆された、とまとめられています。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

この研究は、白サツマイモとエンドウ豆という2つの素材の配合比を変えることで、フレークの栄養成分・食感・官能評価・GI値がどう変化するかを調べた、いわば製品設計段階の基礎研究です。要旨の範囲では、実際にヒトが食べたときの血糖応答を直接測定したのか、それともGI値の算出・推定によるものかまでは明記されていません。また、これは単一の研究であり、配合や製法の異なる食品にそのまま当てはまるとは限らず、健康効果や血糖コントロールへの効果を断定するものではない点に注意が必要です。今後さらに検証が積み重ねられることで、こうした素材の組み合わせが食品開発にどう活かせるかが明らかになっていくと考えられます。

まとめ

白サツマイモ粉と予備加熱エンドウ豆粉の配合比を変えてフレークを試作したこの研究では、エンドウ豆粉を増やすとタンパク質や食物繊維、硬さなどが高まり、サツマイモ粉を増やすと食感やうま味、官能的な好ましさが向上する傾向が示されました。いずれの配合でも低いGI値が確認されており、素材の配合を工夫することで機能性を持たせた食品づくりにつながる可能性が示唆される、興味深い研究といえるでしょう。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:白サツマイモと予備加熱エンドウ豆を用いた機能性低GIフレークの開発(ブラジル食品科学技術誌・2026年08月)