著者の所属・活動拠点の国は、アメリカ、パキスタンです。
掲載誌:Food Science and Processing
ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF
研究の目的
エナジードリンクは、一般的なコーラ類よりも多くのカフェインを含み、タウリン、グルクロノラクトン、イノシトール、植物抽出物などの成分が組み合わされた飲料です。欧州食品安全機関(EFSA)は、典型的な濃度をカフェイン約300〜320mg/L、タウリン4000mg/Lなどと説明しています。
研究チームはまず、こうした「よくある濃度」が製品ごとに決められているのか、それとも市場(国)単位でそろっているのかを調べました。あわせて、カフェインとタウリンの比率が製品の中で一定に保たれているかも検討しました。さらに、ラベルに成分名はあっても量が書かれていない例がどれほどあるか、そして何がそれを左右するのかを数えました。容器の大きさに左右されない形でカフェイン摂取量を示すことも試みています。
何を調べたか
対象は、オーストラリア、カナダ、チェコ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、韓国、スペイン、英国、米国の11か国で、2026年に情報を収集した532製品です。いずれも、メーカーがエナジードリンクとして販売し、そのまま飲む形式で、カフェイン量と容量が表示されている製品です。対象には43ブランドが含まれます。
データはまず、公開食品データベースのOpen Food FactsとUSDA FoodData Centralから集めました。そのうえで、各市場の主要ブランドの公式サイトや通販の商品掲載と照らし合わせています。分析に使ったのはすべてラベルに記載された値であり、実際に成分を測定した値ではありません。
摂取量は、「基準量に達するまでに何mL飲むことになるか」という形で示しました。主な基準は、EFSAが1回の摂取で安全上の懸念がないとする体重1kgあたり3mgです。この基準は成人のデータから導かれたもので、子どもや青少年にも当てはまると考えられています。体重は、12歳と15歳の中央値に近い40kgと55kgを想定しました。なお、この試算に実際の飲用量のデータは使っていません。
主な結果
カフェイン濃度の中央値は、欧州の多くの市場とオーストラリアで320mg/L前後に集まりました。カナダ、日本、米国ではそれより高く、米国の中央値は423mg/Lでした。
カフェイン濃度に法的な上限がある市場では、ばらつきが小さい傾向がありました。一方、欧州を中心とする6市場に限って比べると、320mg/Lへの集中はむしろ上限が確認されなかった市場で強く表れました。320mg/L(±0.5mg/L以内)の製品の割合は、上限のないスペインで94%、フランスで88%、チェコで87%でした。これに対し、上限のあるイタリアとドイツでは55%、オーストラリアでは27%でした。ただし、この対比は6市場に限ったものです。分布の幅が広い日本、韓国、英国、米国も含めた11か国全体で見ると、320mg/Lの製品の割合は上限なしの区分で25.8%、上限ありの区分で31.0%となり、関係は逆になります。著者らは6市場での差について、理由の一つを挙げています。オーストラリアとドイツでは植物由来のカフェインも含めた総量に上限がかかるため、製品がその上限より低めに設定されることがある、というものです。
タウリンの量が記載されていたのは273製品(51%)で、そのうち167製品がちょうど4000mg/Lでした。カフェインとタウリンの濃度には、相関がほとんど見られませんでした。また、同じ市場の中で両者の組み合わせを入れ替えると、見かけ上の集中の大部分が消えました。両者の比率は約12.5対1にそろって見えます。著者らはこれを、製品ごとの配合規則によるものではないと解釈しています。二つの成分がそれぞれ定番の値をとった結果、計算上そうなったという見方です。
成分量の表示については、記録された副成分の記載1364件のうち、61.1%に量が書かれていませんでした。量の表示率は成分によって大きく異なり、タウリンは75.0%でしたが、緑茶抽出物はわずか0.9%でした。量が書かれるかどうかは、成分の種類よりも、販売国の表示制度と強く結びついていました。量の表示が任意の米国・日本では、副成分を記載した製品の82.7%が、どの成分の量も示していませんでした。表示義務のある制度では、その割合は14〜21%程度でした。
摂取量の試算では、500mLを飲むと想定した場合、体重40kgの青少年について、532製品の93.0%が体重1kgあたり3mgを超えました。各国の中央値にあたる製品も、11か国すべてでこの基準を超えました。最も多く見られた320mg/Lの製品では、40kgの人は375mLで基準に達します。一方、55kgを想定すると、欧州の市場、韓国、オーストラリアの中央値にあたる製品は、500mLでも基準を下回りました。
研究が示すこと
この研究は、エナジードリンクのカフェインとタウリンの濃度が、製品ごとではなく市場単位でそろう傾向があることを示しました。ただし、そのそろい方は欧州の一部の市場で強く、米国や日本ではそうではありませんでした。また、320mg/Lへの集中は、法的な上限の有無と単純には対応していませんでした。さらに、体重あたりの摂取量は、選んだ製品よりも飲む量で決まることも示されました。ラベルからどこまで成分量が分かるかは、販売国の表示制度に大きく左右されます。
著者らは、これらの結果はラベル表示に基づく値であり、実測値ではないと述べています。また、各国の市場全体の組成や、規制そのものの効果を示すものではないとしています。
原著論文の著者・所属:Minhae Cho(Plamica Labs, Batten Hall, 125 Western Ave, Allston, MA 02163, USA)、Ansar Ali(Department of Molecular Biosciences, The University of Texas at Austin, Austin, TX 78712, USA)、Heayyean Lee(Plamica Labs, Batten Hall, 125 Western Ave, Allston, MA 02163, USA)、Rabia Naz(Department of Food Science and Human Nutrition, Kinnaird College for Women, Lahore 54000, Pakistan)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Minhae Cho, Ansar Ali, Heayyean Lee, et al. Label-Declared Caffeine, Taurine, and Co-Ingredient Disclosure in 532 Energy Drinks: A Cross-Sectional Survey across Eleven Markets. Food Science and Processing 2026-10-13. DOI: 10.53941/fsp.2026.100016. 原著ライセンス:CC BY.