著者の所属・活動拠点の国は、中国、アメリカです。

掲載誌:Journal of Dairy Science

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

ふんから敷料、乳、子牛へと続く経路を調べる

研究チームは、牛ふんの固形分を再利用した敷料を使う大規模酪農場で、抗菌薬への耐性に関わる遺伝子がどこに存在し、どの程度あるのかを調べました。家畜のふんはこうした薬剤耐性遺伝子が多く存在する場所であり、その分布や伝わり方は飼育管理と関連すると考えられています。

対象は、乳を生産する牛をそれぞれ1,000頭超飼育する4農場です。酸素のない条件で分解処理する前の液状のふん尿、固液分離後の固形分、それを乾燥させた敷料、子牛に与える前の未殺菌の混合乳、子牛のふんという5段階で試料を採取しました。

子牛のふんで高い耐性遺伝子の量、重金属とも関連

研究チームは、薬剤耐性遺伝子と、遺伝子の移動に関わる可動性遺伝因子を検出・分析しました。あわせて細菌群集の構成、重金属の濃度、炭素と窒素の量を調べ、これらと耐性遺伝子の量との統計的な関連を解析しました。

その結果、27種類の薬剤耐性遺伝子と10種類の可動性遺伝因子が検出されました。このうち8種類の耐性遺伝子と7種類の可動性遺伝因子は、調べたすべての試料群で広く見られました。著者らは、子牛のふんで耐性遺伝子の量が高かったことを、対策が必要な結果として強調しています。

重金属では、特に亜鉛と鉛の濃度が高いほど、耐性遺伝子の量も多いという正の相関が報告されました。また、多くの耐性遺伝子は、腸球菌属やバクテロイデス属などの細菌、さらに一部の可動性遺伝因子と共に検出され、統計的にも有意な関連を示しました。

再利用の経路に沿った分布が示すこと

著者らは、一連の経路に沿って耐性遺伝子が存在することには、牛ふん由来の敷料の利用が関係している可能性があるとしています。ただし、その関連にはさらなる確認が必要だとも述べています。今回の報告は、耐性遺伝子の分布を捉えるうえで、ふんや敷料の利用だけでなく、重金属や細菌、遺伝子の移動に関わる因子との関連も重要な視点になることを示しています。

原著論文の著者・所属:Wenkai Wang(College of Animal Science and Technology, Northwest A&F University, Yangling, Shaanxi, 712100, China)、Jie Sui(College of Animal Science and Technology, Northwest A&F University, Yangling, Shaanxi, 712100, China)、Chaonan Yin(College of Animal Science and Technology, Northwest A&F University, Yangling, Shaanxi, 712100, China)、Zehui Wei(College of Animal Science and Technology, Northwest A&F University, Yangling, Shaanxi, 712100, China)、Yijing Xu(College of Animal Science and Technology, Northwest A&F University, Yangling, Shaanxi, 712100, China)、Jiuzhou Song(Department of Animal & Avian Science, University of Maryland, College Park, MD 20705, USA)、Shunli Wang(Institute of Environment and Sustainable Development in Agriculture, Chinese Academy of Agricultural Sciences, Beijing, 100081, China)、Cunling Jia(College of Animal Science and Technology, Northwest A&F University, Yangling, Shaanxi, 712100, China. Electronic address: [email protected])

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Wenkai Wang, Jie Sui, Chaonan Yin, et al. Association of antibiotic resistance gene migration with heavy metals in large-scale dairy farms using recycled manure solids bedding. Journal of Dairy Science 2026-09-01. DOI: 10.3168/jds.2025-28216. 原著ライセンス:CC BY.