著者の所属・活動拠点の国は、マレーシアです。
掲載誌:Quantum Journal of Social Sciences and Humanities
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
クイ・ケラマイは、マレーシアのペラ州ゴペンに伝わる、ラワ系マレー人の伝統菓子です。もち米やココナツミルク、砂糖などを使い、竹に入れて火でじっくり調理する製法に特徴があります。研究チームは、この菓子に対する若者の認知や食べる機会、文化的な価値の受け止め方を調べました。
特に注目したのは、販売場所や買いやすさ、SNSで見かける機会、伝統的な材料・製法や価格への考え方です。若者と伝統食との接点を妨げているものを明らかにしようとしました。
何を、どのように調べたか
対象は、ゴペン在住または出身の19~23歳の15人です。クイ・ケラマイについて以前から知っているか、食べた経験があることを参加条件とし、地域のつながりやSNSで募集しました。無作為に選んだ集団ではありません。
研究チームは4週間にわたり、マレー語で1人15~30分の対面インタビューを行いました。基本の質問を用意しつつ、回答に応じて話を掘り下げる方法で、購入場所や探しやすさ、SNSでの接触、材料の知識、伝統製法への評価、高い価格でも買いたいかなどを尋ねました。録音を書き起こし、発言に共通する内容をまとめて主要なテーマを整理しました。
主な報告結果
研究チームが主要な障壁として報告したのは、日常的な買いにくさでした。15人中12人は、販売が祝祭期に偏っていると述べました。一方、15人中11人は、地域のカフェや料理配達アプリなどで手軽に買えるなら購入したいと回答しました。これは購入意向についての回答であり、販路を増やした後の実際の購買行動を測った結果ではありません。
SNS上での接点も限られていました。15人中13人が食べ物の選択にSNSの影響を受けると答えた一方、10人はクイ・ケラマイに関するデジタルコンテンツを見たことがないと述べました。短い動画による紹介や、包装・見せ方の刷新に前向きな意見もありました。
伝統への評価と価格への考え方は一様ではありませんでした。15人中10人は竹を使う伝統製法を評価し、伝統的な材料や製法を守る商品なら高めの価格も受け入れると回答しました。一方、5人は価格を重視し、予算に制約があれば、なじみのある現代的なデザートを選ぶと述べました。研究チームは、価格への反応が、文化や手仕事にどれだけ価値を感じるかと結び付いていると解釈しています。
この報告が示すこと
著者らは、若者とクイ・ケラマイとの距離を、伝統への無関心だけで説明すべきではないと結論付けています。伝統的な作り方を守ることと、販売経路や情報の届け方を現代の生活に合わせることは、両立させるべき課題だと位置付けました。
ただし、この研究はゴペンの15人への聞き取りに基づく探索的な調査です。著者らは、結果をマレーシアの若者全体に一般化できないとしています。この報告は、地域の伝統食を受け継ぐうえで、文化への評価だけでなく、日常の中で知り、買える接点にも目を向ける必要性を示しています。
原著論文の著者・所属:AYUNI ATIRAH MOHD AZMI(Gopeng Glamping Park, Perak, Malaysia)、MOHAMAD AIMAN KULA @ SALLEH(Ascott Gurney Penang, Penang, Malaysia)、MOHAMAD AZLI RAZALI(Faculty of Hotel and Tourism Management, Universiti Teknologi MARA (UiTM) Penang Branch, Penang, Malaysia)、NURSYAZANA YILDIRIM(Faculty of Hotel and Tourism Management, Universiti Teknologi MARA (UiTM) Penang Branch, Penang, Malaysia)、KHAIRUL HIDAYAT REZO(Faculty of Hotel and Tourism Management, Universiti Teknologi MARA (UiTM) Penang Branch, Penang, Malaysia)、ANIDA ISMAIL(Faculty of Hotel and Tourism Management, Universiti Teknologi MARA (UiTM) Penang Branch, Penang, Malaysia)、ASMADI MOHAMMED GHAZALI(Faculty of Information Management, Universiti Teknologi MARA (UiTM) Kedah Branch, Kedah, Malaysia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):AYUNI ATIRAH MOHD AZMI, MOHAMAD AIMAN KULA @ SALLEH, MOHAMAD AZLI RAZALI, et al. EXPLORING GEN Z’S AWARENESS OF KUIH KELAMAI IN GOPENG: A QUALITATIVE STUDY. Quantum Journal of Social Sciences and Humanities 2026-11-07. DOI: 10.55197/qjssh.v7si5.1744. 原著ライセンス:CC BY.